地域において担っている役割
塩江地域唯一の医療機関としての責任を果たすため、住み慣れた自宅で家族の負担を軽減しながら安心して療養できるよう、「在宅療養支援病院」として、医師、看護師が24時間・365日体制で患者の在宅療養を支援している。また、訪問診療や訪問看護を始め、歯科医師や理学療法士等、多職種が地域に出向き、専門性を活かした活動の充実のほか、交通手段を持たない地域住民のための患者送迎バスの運行など、職員全員で地域を支える「地域まるごと医療」を実践している。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、②医業収支比率、③累積欠損金比率、⑦職員給与費対医業収益比率については、前年度から悪化し、類似病院平均値を下回る(⑦は上回る)結果となった。医業収益の減少が主な要因である。④病床利用率の低下からも分かるように、塩江地区の人口減少のほか、入院患者の死亡や介護保険施設への入所などが要因となり、患者数が大きく減少しており、それが医業収益に影響を与えている。⑤入院患者1人1日当たり収益について、類似病院平均値を下回っているものの、塩江分院は療養病床のみであり、患者単価が急性期病院と比べて低いことから、一般病床を含む類似病院平均値を上回ることは困難である。経営の健全化に向けて、患者数確保に努めなければならない。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率、②器械備品償却率については、類似病院平均値を上回っており、類似病院よりも老朽化が進んでいることが分かる。③1床当たり有形固定資産についても、類似病院平均値を大きく下回っており、施設設備への投資が平均よりも少ない。塩江分院は、30年度に開院するみんなの病院の附属医療施設として、観光施設と一体的に整備することで検討を開始しているところであり、整備完了までは、現有設備の適切な維持管理に努めたい。
全体総括
患者数の減少等により、29年度において、5年ぶりに赤字となった。人口減少、高齢化が進んでいるという地域の特性上、大幅な患者数の増加は困難と思われるが、できる限りの患者確保に向けた取組が必要である。29年度は経常収支比率が100%床利用率が3年連続で70%未満と、医療機能を十分に発揮できていない状況だが、平成29年度に策定した第3次高松市病院事業経営健全化計画(H30~32)において、高松市立みんなの病院の附属医療施設として、再編・ネットワーク化を行うことや、経営改善に向けた様々な指標を設定しており、これに基づき、経営状態の改善に努めたい。