経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は43.58%で赤字経営となっている。地方債償還金の増加に伴い,率は低下傾向にあり,料金収入や一般会計からの繰入金の適正化が必要である。汚水処理に係る経費回収率は,類似団体平均を上回っているものの100%には達していない。汚水処理に係る費用に対し,一部使用料以外の収入で賄われていることから,適正な使用料収入の確保と汚水処理費の削減に取り組む必要がある。企業債残高対事業規模比率は類似団体平均を上回っている。平成18年度に供用開始し,整備面積を拡大している状況であることから,使用料収入に比べ企業債残高の規模が大きくなっている。初期に投資した終末処理場や排水ポンプ場に係る企業債の償還がピークを迎えており,今後減少が見込まれる。施設利用率は,類似団体平均を上回っており適正規模の施設整備といえる。水洗化率は,類似団体平均を上回っているものの,料金収入の確保を図るため,さらなる有収水量の向上に努める必要がある。
老朽化の状況について
平成元年度に事業着手し,平成18年度から供用開始を行っている。管渠・施設などにおいて耐用年数を経過した資産が無い状況であるものの,機械設備などにおいて耐用年数を超える資産の発生が近々に見込まれている。適切な修繕による施設・設備の長寿命化に取り組むとともに,計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に努める。
全体総括
平成18年度から供用開始し,下水道整備区域の拡大を図っているため,企業債残高が多くなっている。また,収益的収支比率が低下傾向であるなか,汚水処理の経費回収率も100%を下回っていることから,さらなる水洗化率向上による有収水量の増加と,使用料収入の確保,維持管理費用の縮減に取り組む必要がある。企業債残高対事業規模比率は,類似団体平均を上回っており,供用開始から間もなく整備区域拡大に取り組んでいることや地理的要因等により建設費の増加により企業債残高の増となっているため,さらなる建設コストの縮減に取り組む必要がある。下水道事業の整備計画を見直したことから,事業進捗の適正化を図るとともに,令和2年度から地方公営企業法(財務適用)の適用を行い,さらなる経費削減や使用料の適正化など経営の健全化に努める。