経営の健全性・効率性について
●収益的収支比率は、料金収入がほぼ横ばいとなったものの、施設台帳システム導入に係る臨時的経費の負担があったことから、H30は前年度より数値が9.74ポイント減少した。今後、支払利息・地方債償還金はほぼ横ばい、人口減少により料金収入は減少で推移することから、令和元年度上下水道運営審議会の答申に基づく料金の引上げを着実に実行する予定である。●企業債残高対事業規模比率は、地方債残高に対する一般会計等負担額が100%で料金収入負担分は0となっており、事業規模の面からみて健全な状況であるといえる。今後の施設更新等の建設事業の規模も下水道事業開始時と比較して大きなものとはならいないため、これまでと同様に比率は低水準で推移すると見込まれる。●経費回収率は年々上昇してきており、料金収入の徴収強化や修繕費の抑制等がその要因として挙げられる。類似団体と比較してH30で15.50ポイント上回っているものの、全国平均と比較するとまだ健全性は低く、100%を超えていない状況であるため、更なる維持管理費の抑制及び料金の引上げ等の対策が必要である。●汚水処理原価については、年々改善傾向にあり、H30は類似団体と比較して10.76円下回った。しかし、全国平均と比較すると処理費用の効率性は低い水準にあると言え、継続して更なる維持管理費の抑制に努めなければならない。●施設利用率については、年度毎で数値にばらつきがあるものの、ここ3年間は高い水準で推移しており、H30は類似団体と比較して3.49ポイント上回って全国平均値へ近づきつつある。水洗化率はすでに高い水準にあり、類似団体と比較するとH30で10.1ポイント上回っている。今後は隣接する農業集落排水処理区との統合等による余剰能力の活用方法を検討し、施設利用率の向上を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
管渠については、下水道事業開始以後、耐用年数に達したものがなく、これまで緊急的に更新する必要性がなかったため、管渠改善率は0で推移している。しかし、大半が耐用年数を経過している処理施設の機械・電気設備の老朽化が特に目立ってきており、現在、長寿命化事業に取り組んでいるところである。今後、長寿命化事業やストックマネジメント事業等の施設更新事業に取り組んでいく予定であるが、事業費の平準化を図りながら計画的に事業実施していく必要がある。
全体総括
今後、維持管理費の更なる抑制を図ることは当然ながら、人口減少による料金収入の減少、老朽化施設の更新費用の増大等に対応していくため、運営審議会の答申に沿って料金の見直し等の対策を進めていくことが必要である。また、本処理区(公共下水道)が有する余剰処理能力を活用し、下水道事業全体として効率的な運営を行っていくため、近隣の農業集落排水処理区との統合等の事業運営の見直しについても検討を進めていかなければならない。管渠についてはまだ耐用年数に達していないものの、車道部のマンホール蓋については耐用年数を経過し随所で経年劣化が見られるため、継続して計画的に更新事業を実施していく必要がある。また、長寿命化やストックマネジメント事業等の実施により処理施設の電気・機械設備の計画的な施設更新を行い、事業費の平準化を行いながら健全な事業経営の確保を図っていかなければならない。