経営の健全性・効率性について
収益的収支は、近年横ばい傾向にあったが、H29は100%を超える結果となった。地方債の支払利息が減少していること、また、大規模な修繕が補助事業等を活用した建設改良費へと振り替わったことが要因として挙げられる。維持管理経費の単価が上昇傾向にあること、また、人口減少による料金収入の減少等により、数値は減少して推移する見込みであることから、同水準を保つよう料金改定等の更なる対策が必要である。企業債残高対事業規模比率は、既発債の順次償還により減少傾向にある。類似団体と比較してH29で355.57ポイント下回っており、事業規模の面からみると健全であるといえる。今後の長寿命化事業等の事業規模も下水道事業開始時と比較して大きなものとはならいないと考えられ、これまでと同様に比率は減少していく見込みである。経費回収率は年々上昇してきており、料金収入の徴収強化や修繕費の抑制が要因であると考えられる。類似団体と比較してH29で9.35ポイント上回ったものの、全国平均と比較するとまだ健全性は低い状態であり、更なる維持管理費の抑制及び料金見直しの検討が必要である。汚水処理原価については、類似団体と比較してH29で3.95ポイント上回っているものの、これまでの数値に比べ改善が見られる。ただし、全国平均と比較すると処理費用の効率性は低い水準にあると言え、継続して維持管理費の抑制に努めなければならない。施設利用率については、年度毎で数値にバラつきはあるがここ2年は上昇しており、類似団体と比較するとH29では1.3ポイント上回っている。水洗化率はすでに高い水準に達しているため、今後は隣接する農業集落排水処理区との統合等も視野に入れた事業運営の見直しを行っていく必要がある。
老朽化の状況について
管渠については、下水道事業開始以後、耐用年数に達したものがなく、これまで緊急的に更新する必要性がなかったため、管渠改善率は0.00で推移している。しかし、大半が耐用年数を経過している処理施設の機械・電気設備類の老朽化が特に目立ってきており、現在、長寿命化事業に取り組んでいるところである。今後、長寿命化事業、ストックマネジメント事業等の施設更新事業に取り組んでいく予定であるが、事業費の平準化を図りながら計画的に事業実施していく必要がある。
全体総括
今後、維持管理費の更なる抑制を図ることは当然ながら、人口減少による料金収入の減少、老朽化施設の更新費用の増大等に対応していくため、引き続き料金見直しの検討を行うことが必要である。また、本処理区が有する余剰処理能力を活用し効率的な施設運営を行っていくため、近隣処理区との統合等の事業運営の見直しについても検討を進めていかなければならない。管渠についてはまだ耐用年数に達していないものの、車道部のマンホール蓋については耐用年数を経過し随所で経年劣化が見られるため、継続して更新事業を実施していく必要がある。長寿命化やストックマネジメント事業等の実施により処理施設設備の計画的な施設更新を行い、事業費の平準化を行いながら健全な事業経営の確保を図っていかなければならない。