経営の健全性・効率性について
●収益的収支比率は、令和2年4月からの料金改定に伴う料金収入の微増等による影響で前年度より2.67%増加した。また、類似団体と比較して20.62%上回っており、経営状況は比較的健全であるといえる。今後は、支払利息・地方債償還金が横ばいで推移していくことから、収益的収支比率は令和2年度と同様に推移するものと見込まれる。●企業債残高対給水収支比率は、料金改定に伴う料金収入の増加により減少している。類似団体と比較して243.55%も下回っており、給水収益と地方債残高のバランス面においては比較的健全であると見ることができる。今後の施設更新も計画的かつ平準的に実施する予定であり、地方債残高の抑制によってこれまでと同じような水準で推移していく見込みである。●料金回収率は、総費用の減少に伴って数値が微増している。数値が100%を下回ってはいるものの、類似団体と比較して24.86%上回っており、料金水準の面において比較的健全であるといえる。今後は、支払利息・地方債償還金が横ばいで推移する見込みであることから、同水準で推移する見込みである。●給水原価は、類似団体と比較して39.47円下回っており、比較的健全であるといえる。今後、支払利息・地方債償還金は横ばい状況となることから同水準で推移する見込みである。●施設利用率は、人口減少等に伴って近年減少傾向にあり、類似団体と比較して5.48%下回っている。施設の統廃合・ダウンサイジング等検討を行っていく必要がある。●有収率は、類似団体と比較して1.09%下回っていて、近年減少傾向にあるため、今後も引き続き漏水対策を行っていく必要がある。
老朽化の状況について
令和2年度は管路更新を行っておらず、統合計画及び機器更新等を行ったため、管路更新率は0%となっている。また、近年の管路更新等の投資状況についても、類似団体と比較して低いといえる。本町においては、過去、下水道事業の実施の際に水道管の更新事業を併せて行っているため、下水道事業終了後約20年を経過した現在、大半の水道管が耐用年数を迎えておらず、大規模な管路更新事業を行っていないのが要因と考えられる。今後、多くの管路が一斉に耐用年数を迎えることが予想されることから、計画的かつ平準的な管路更新の実施を行っていく必要がある。
全体総括
令和2年4月からの料金改定に伴い料金収入は微増となり、収益的収支比率、企業債残高対給水収支比率、料金回収率、給水原価において良好な水準を維持することができている。支払利息・地方債償還金が今後は横ばいで推移することから、これまでと同様の状態を保つ見込みであり、当面は現状の経営状況の維持を図りたい。施設の効率性においては、気候状況(寒波等)や漏水により一時的に利用率が増加するものの、施設利用率が類似団体と比較しても高い水準とはいいがたい状態となっている。今後、人口減少によって施設利用率がさらに減少することも考えられることから、統廃合等の施設の在り方や施設更新時の規模縮小等を検討する必要がある。管路更新については、今後、施設の老朽化状況などを考慮しながら実施していくこととなるが、大半の管路が一斉に耐用年数を迎えることが予想されるため、事業の平準化を図りながら計画的に実施していく必要がある。