経営の健全性・効率性について
人口減少に伴って料金収入は減少傾向にあるが、それを上回る宅地造成による加入手数料及び給水戸数の増、維持管理費の削減及び地方債償還額の減少影響等によって収益的収支比率は上向きとなっている。類似団体と比較してH29で18.52ポイント上回っており、経営状況は比較的健全であると見ることができる。支払利息・地方債償還金が今後も減少推移であることから、収益的収支比率はこれまでと同様に上向きで推移すると見込まれる。企業債残高対給水収支比率は、既発債償還による地方債残高の純減に伴って減少傾向にある。類似団体と比較してH29で479.71ポイント下回っており、給水収益と地方債残高のバランス面においては健全であると見ることができる。今後の施設更新も平準的に実施する予定であり、地方債残高の減少に伴って数値は今後も同水準で減少していく見込みである。料金回収率は、総費用・地方債償還額の減少に伴って上向いている。類似団体と比較してH29で27.31ポイント上回っており、料金水準の面においては健全であると見ることができる。今後も支払利息・地方債償還額が減少若しくは微減となることから、引き続き上向き推移を維持する見込み。給水原価は、総費用・地方債償還額の減少に伴って減少傾向にある。類似団体と比較してH29で116.68ポイント下回っており、費用の効率性は高いと言える。今後も支払利息・地方債償還額が減少傾向となることから減少推移となる見込み。施設利用率は、宅地造成による給水戸数の増加で数値は上昇しているが、特殊事情として寒波による漏水が多数発生したことも要因となっている。類似団体と比較してH29で1.06ポイント下回っており、施設利用率は若干低い。今後は人口減少等による使用水量(配水量)の減少に伴って施設利用率は減少となる見込みである。有収率は、漏水対策の効果により類似団体と比較してH29で4.45ポイント上回っているものの、H29の寒波による漏水の影響等もあり、減少傾向となっており、今後も引き続き漏水対策を行っていく必要がある。
老朽化の状況について
H29は管路の更新を行っておらず、新規布設事業のみ実施しているため、管路更新率は0.00となっている。管路更新投資の実施状況は、類似団体と比較しても比較的低いと見ることができる。本町においては、過去、下水道事業の実施の際に水道管の更新事業を併せて行っており、下水道事業終了後約20年が経過しているものの、大半の水道管は耐用年数を迎えていないため、近年大規模な管路更新事業を行っていないのが要因と考えられる。今後、同時期に対応年数を迎えることから、計画的に管路の更新を行っていく必要がある。
全体総括
人口減少に伴って料金収入は減少傾向にあるが、それを上回る総費用及び地方債償還額の減少等によって、収益的収支比率、企業債残高対給水収支比率、料金回収率、給水原価、有収率において良好な水準を維持している。支払利息・地方債償還金が今後も減少推移であることから、これまでと同様に良好な状態を維持する見込みであり、当面は現状の経営を継続したい。施設の効率性においては、施設利用率が宅地造成や気候要件(寒波)による漏水増加の影響で一時的に増加しているものの、類似団体と比較して低い水準となっている。今後、人口減少によってさらに施設利用率が減少することが予想されるため、統廃合等施設配置の在り方、施設更新時の事業内容(規模縮小)等を検討する必要がある。管路更新については、今後、施設の老朽化状況などを勘案しながら実施していくこととなるが、大半の管路が一斉に耐用年数を迎えるため、事業費の平準化を図りながら計画的に実施していく必要がある。