経営の健全性・効率性について
①の経常収支比率は、統合した簡易水道事業資産の減価償却費や電気機械設備の更新に伴う固定資産除却費の計上により前年度より悪化し、類似団体の比率を下回った。今後の更新事業による減価償却費や固定資産除却費の増加、老朽施設機器の維持管理費用の増加も予想されることから経常収支比率の悪化が懸念される。③の流動比率は、類似団体よりも高く現在は良好であるが、大規模更新事業により現預金が減少することが懸念される。投資計画と財政計画を策定し、企業債の発行や水道料金の値上げにより資金を確保する必要がある。⑤の料金回収率は、類似団体とほぼ同じで100%を上回っている状況ではあるが、これは会計制度改正により給水原価の計算から非資金性の長期前受金戻入を差し引いた計算によるもので、本来の水道事業の営業成績である営業損益は赤字となっており、健全経営のため、費用削減を図りながら、給水収益の増に努力する必要がある。⑦の施設利用率や⑧の有収率は類似団体より大きく下回っており、更新事業においては、施設の統廃合やダウンサイジングを実施する必要がある。
老朽化の状況について
①の有形固定資産減価償却率は類似団体とほぼ同じ値となっているが、昭和50~60年代の大規模住宅開発した地域の水道施設や管が一斉に耐用年数を経過する時期にきている。特に浄水場については耐用年数は経過していないものの、耐震化を図りながら更新することが重要と考えている。②の管路経年化率や③の管路更新率は類似団体より低い状況にあり、今後計画的に更新する必要がある。
全体総括
平成29年度は150,025千円の当年度純利益を計上したものの営業損益は295,523千円の赤字となった。会計制度改正による非資金性の長期前受金戻入により当年度純利益は黒字を計上したものである。経常収支比率は109.35%と100%を超え、流動比率は1,217.79%と良好で現状は短期的には経営は安定していると考える。しかし、中長期的には更新投資や老朽資産の維持管理のための財源確保が必要である。コスト削減と同時に水道料金の見直しや企業債の発行を踏まえた経営戦略を策定し、水道水の安全で安定した供給と事業の健全経営に努める。