経営の健全性・効率性について
過疎・高齢化による給水戸数・使用水量の減少傾向が続いており、水道料金収入は年々減少を続けている。④企業債残高対給水収益比率が非常に高い水準を示しているとおり、現浄水場施設を建設した際に借り入れた企業債の元利償還金が経営を圧迫しており、⑥給水原価も平成27年度決算において類似団体平均値の倍以上の422.85円となっている。下市町は町の大半を山林が占め、その給水範囲は広く人口密度は低い。そういった中にあって事業の効率性必ずしも高くなく、水道料金も県内では常に上位を維持する高水準にあり、生活の基本となる安全な水を住民に供給するという観点からはこれ以上の料金改定は難しく、健全性、効率性ともに良い状態であるとはいえない。現在、一般会計からの補助金によりかろうじて経営が成り立っている状況であり、今後も企業債の償還に要する費用の一部を、一般会計から補助金として受け入れる必要がある。
老朽化の状況について
現浄水施設は平成14年に新設されたもので、竣工から10年以上が経過し、既に取水ポンプや中央監視装置など機器及び設備の更新が始まっている。管路については、公共下水道工事にあわせて工事を行うことでより効率的な管路更新に努めてきており、⑧有収率については類似団体平均を大きく上回っている。平成23年度以降下水道工事の減速と財政状況の悪化によって③管路更新率は低下しているが、今後も道路改良工事等の機会をとらえて可能な限り石綿管等の更新にも努めていく。
全体総括
現浄水施設の建設に要した費用の回収が完了するまでの間は、引き続き厳しい経営状態が続くことが予想される。また、現在実施している簡易水道統合整備事業の完了に伴い、平成29年4月以降は現簡易水道地域も上水地域に統合することとなる。今後も引き続き一般会計補助金の繰り入れにより経営を維持するとともに、より効率的な経営に努め、必要な施設・設備・管路の更新を行いつつ、安定的な経営に努めていく。