経営の健全性・効率性について
本町の下水道事業経営の健全性については、良好とはいえない。下水道歳出全体の約50%しか下水道使用料で賄えていないのが現状である。指標⑤・⑥については分流式経費の算出方法に変更があったことで、それぞれの数値が類似団体とほぼ同じ数値になった。また、指標④でもわかるように企業債残高対事業規模比率が非常に高く、毎年度の企業債償還金が下水道事業経営を圧迫していることが要因として考えられる。本町は下水道整備率が全体で約98%(公共下水道:74.37%、特環:24.05%)と高い。下水道建設開始の昭和51年以降急速に整備を進めてきた経緯があり、現在は今までの下水道建設で借り入れた企業債の償還に追われている。毎年返済する多額の下水道償還金が汚水処理費原価を押し上げており、経費回収率と収益的収支比率を悪化させている。さらに、これからの人口減少に伴い下水道使用料収入の減少と下水道施設の老朽化の波が来ることも予想され、収益性の維持と下水道施設の更新費用の確保が今後の課題となっている。
老朽化の状況について
下水道の建設事業開始が昭和51年で、当初に布設した管は35年以上経過しており、下水道管の法定耐用年数は40年であるが、実耐用年数とのバランスと下水道事業の経営状態を考慮に入れ、計画的に更新又は長寿命化をしていく必要がある。また、老朽化の状況を適切に把握するためには、下水道資産(管・ポンプ等)の詳細情報の調査を行い、資産台帳を整備する必要がある。
全体総括
本町の下水道事業は将来にわたる人口減少による収入の減少が見込まれる中、早期に経営計画を策定する必要がある。さらに、2の老朽化の状況でも述べたが、資産の更新時期の把握をするためにも、資産台帳を整備する必要がある。また、老朽化対策として平成28年度から三宅町全域の下水道施設(マンホール蓋)の長寿命化を5年計画で行っている。今後の収益の確保においては、下水道使用料の料金改定についても5ヶ年ごとの見直しを検討していく。