経営の健全性・効率性について
①経常収支比率が収支判断基準である100%を上回っており、将来的にも上回っていけるように計画をもって下水道事業を実施していく。②累積欠損金はない。③④流動比率ならびに企業債残高対事業規模比率は類似団体と比較して低く抑えられている。現在公共下水道における下水道未普及解消事業を重点的に取り組んでおり、特定環境保全公共下水道にかかる起債償還費が減少傾向にあることが要因として挙げられる。しかし、下水道事業全体として悪い水準にあり、借換の実施等や使用料の増額をはかることで、将来的には流動比率ならびに企業債残高対事業規模比率の改善をめざす。⑤経費回収率は収支判断基準である100%を下回っており、下水道使用料だけでは経費を回収できていない状態となっている。⑥汚水処理原価については類似団体に比べ低い傾向にあり、汚水処理に係るコストが低い状態となっているが、下水道事業全体としては、類似団体に比べ高い傾向にあり、汚水処理に係るコストが高い状態となっていることに留意したい。⑧水洗化率については類似団体に比べて低く、下水道に未接続世帯が多くあるため、費用対効果の低い状態であり、人口減少及び高齢化により下水道への接続数が増えないことも要因として挙げられる。
老朽化の状況について
桜井市の特定環境保全公共下水道事業は昭和52年に建設を開始しており、もっとも古い管渠は43年を経過しているが、下水道管渠の耐用年数は50年であるため現在は耐用年数内である。しかし6年後には耐用年数を超える管渠も発生するため、順次更新や長寿命化対策が必要となる見込みである。令和元年度において、ストックマネジメント計画を策定し、計画に沿った管渠やマンホールポンプの調査ならびに修繕改築工事を順次実施していく。
全体総括
本市の特定環境保全公共下水道事業は桜井市北部の平野部の比較的狭い範囲の事業特性のため、建設投資効果は高い。水洗化率の向上については普及啓発を行い収入の増加につなげる。また、令和元年10月に使用料の改定を実施し営業収益は増加したものの、健全な事業運営、管渠老朽化に伴う更新需要や長寿命化が必要となって行くことから、今後も適正な使用料改定を実施し、収入の確保を図りながら事業を見直し、支出の削減につとめることで、持続可能な運営をめざす。