経営の健全性・効率性について
①経常収支比率が収支判断基準である100%を上回っており、将来的にも上回っていけるように計画をもって下水道事業を実施していく。②累積欠損金はない。③④流動比率ならびに企業債残高対事業規模比率は類似団体と比較して悪い水準にあるが、下水道未普及解消事業にかかる起債償還費が過大にあることが原因に上げられ、特に直近は起債償還費が高止まりにあり、借換の実施等や使用料の増額をはかることで、将来的には流動比率ならびに企業債残高対事業比率の改善をめざす。現在下水道人口普及率が70.66%あり、一概に支払能力がないとは言い切れないが、事業運営の在り方を検討する機会にあると考える。⑤経費回収率は収支判断基準である100%を下回っており、下水道使用料だけでは経費を回収できていない状態となっている。⑥汚水処理原価についても類似団体に比べ高い傾向にあり、汚水処理に係るコストが高い状態となっている。⑧水洗化率については類似団体に比べて低く、下水道に未接続世帯が多くあるため、費用対効果の低い状態であり、人口減少及び高齢化により下水道への接続数が増えないことも要因として挙げられる。
老朽化の状況について
桜井市の公共下水道事業は昭和49年に建設を開始しており、もっとも古い管渠は47年を経過しているが、下水道管渠の耐用年数は50年であるため現在は耐用年数内である。しかし、2年後には耐用年数を超える管渠も発生するため、順次更新が必要となる見込みである。このため、ストックマネジメント計画に則り、管渠やマンホールポンプの調査ならびに修繕改築工事を順次実施していく。
全体総括
当市の下水道人口普及率(全体)は76.0%となっており、今後も未普及地域への投資が必要であるが、事業の推進には企業債を充当するため、人口の減少、高齢化等の要因を勘案し、費用対効果の高い地域への建設投資を行うよう計画を策定中である。水洗化率の向上については普及啓発を行い増収につなげる。また、令和元年10月に使用料の改定を実施し営業収益は増加したものの、健全な事業運営、管渠老朽化に伴う更新需要や長寿命化が必要となって行くことから、今後も適正な使用料改定を実施し、収入の確保を図りながら事業を見直し、支出の削減につとめることで、持続可能な運営をめざす。