経営の健全性・効率性について
農業集落排水事業においては、平成18年度に全ての整備事業が完了していますが、新規接続及び使用料収入が伸び悩んでいる状態です。経費回収率については平成29年度は48.25%となり、前年度より少し悪化していますが、今後の処理施設の統廃合による維持管理費の削減や資本費部分の減少により良化していく見込みです。汚水処理原価295.42円/㎥についても経費回収率同様に少し悪化しています。使用料単価142.54円/㎥に対して約2.1倍の汚水処理費が必要でこの差が財源の不足となっており、一般会計補助金に依存している状態です。平成29年度の施設利用率は31.82%と前年度より0.83%良化してきており、今後は処理施設の統廃合実施により施設利用率も改善できる見込みです。こういった現状を把握した上で、使用料収入の確保による経営基盤の強化と既存施設の統廃合並びに人口規模に応じた施設のダウンサイジング等を図って維持管理経費削減を行うことにより、今後の経営戦略において、使用料単価と汚水処理原価との差の縮小により自主財源率を高め、将来の施設更新が充分に可能な下水道事業を構築する必要があります。
老朽化の状況について
平成7年度から建設事業を開始しているため、管渠等の老朽化は未だ見受けられないものの、本格的な人口減少社会の到来による使用料収入の減少が予測され、将来的な投資余力は減退の方向にあります。今後の対策としては、老朽化施設の改築更新工事等のストックマネジメント手法の導入・実践により、個々の施設ではなく施設全体を計画的に最適化することにより効率的な施設維持管理と長寿命化を図り、既存施設の有効利用に努める。
全体総括
持続可能な下水道事業を構築するためには、使用料水準の見直しによる経営基盤の強化、施設維持管理の効率化による有効利用が必要です。①使用料水準の見直し:消費税増税といった市民負担の増加に加え、過疎化と高齢化が進行する現状を考慮すると、使用料金の値上げは非常に困難です。しかし、自主財源を確保するためには避けては通れない問題であることから、今後の『経営戦略』における重要な検討課題となっています。②施設維持管理の効率化:『下水道事業統廃合基本計画』に基づき、平成28年度より処理区の統廃合を開始。また、ストックマネジメント手法による長寿命化対策を行うことにより、効率的な維持管理を目指します。