地域において担っている役割
・がん医療を始めとする高度な医療を提供する地域の中核病院としての役割を果たしている。・小児救急を含む2次救急を中心に病院群輪番制の下、民間医療機関などとの協力により市内の救急医療の一翼を担っている。・地域の医療機関などとの連携を強化し、地域完結型医療の構築に向けて、中心的な役割を果たしている。なお、令和元年6月に兵庫県知事より「地域医療支援病院」の承認を受けた。・大規模災害時においても継続して医療の提供ができるよう、院内の体制の整備を図るとともに、他の医療機関や関係団体との連携強化に努めている。
経営の健全性・効率性について
当院では、より安全で質の高い医療を提供するために、医療スタッフの確保に努めるとともに、医療機器の更新・整備を図ってきた。特に平成27~30年度にかけて、放射線治療機器(リニアック)や手術支援ロボット(ダヴィンチ)などの高度医療機器を整備した結果、病床利用率が増加し、入院・外来ともに患者1人当たりの収益は増加傾向にあった。しかしながら、病棟改修の実施(平成30年度)や、医師の異動に伴う診療科の体制変更(令和元年度)などに伴い、近年では病床利用率が減少傾向にある。また、こうした医療機器の更新・整備や施設改修などの実施に伴い、近年、多額の減価償却費が発生し、経常収支比率及び医業収支比率の改善には至っておらず、高額な抗がん剤の活用や、一般的に材料費が高いといわれる循環器系疾患の診療強化を図ったことにより、材料費対医業収益比率も増加傾向にある。
老朽化の状況について
当院は建築後40年以上が経過しており、建物は老朽化している。そのため、平成28~30年度にかけて耐震化工事や外来エントランス改修工事、病棟改修工事を行ってきた結果、有形固定資産減価償却率は減少傾向にあった。しかし、今後は統合新病院の開院を控える中、現病院については建物機能の維持・補修を中心に行うこととなるため、有形固定資産減価償却率及び器械備品減価償却率はともに増加していくと考えられる。
全体総括
当院は、県立西宮病院との統合新病院の開院(令和7年度予定)に伴い、閉院することとなる。統合までの間、現状の水準を引き下げることなく医療サービスを提供し、現在担っている役割を果たしていくことが必要であり、新病院に機能の継承を図るためには、経営改善が不可欠であるため、令和2年4月、「経営改革プラン」を改定し、「医療サービスの向上」と「経営の健全化」に向けた各種の取組を進めることとした。現在、新型コロナウイルス感染症の影響により病院経営は非常に厳しい状況にあるが、公立病院として市民の命と健康を守る役割を果たしていくとともに、経営改善に向けた取組を着実に実施していく。