経営の健全性・効率性について
収益については、令和3年10月より料金改定を行ったことで、給水収益は増加した。一方、費用については、令和2年度はダム水の送水管破損事故により、企業団からの受水費や燃料費等が増加していたが、令和3年度では、この影響がなかったため、前年度に比べ減少となった。このため、経常収支比率は改善している。近年は、積極的に更新工事を行っているため、資金(流動資産)が減少し、流動比率は、減少傾向が続いている。平成29年度の数値が高い要因は、継続費に係る工事の翌年度への繰越等のため、決算時点での一時的な資金残高の増加によるものである。企業債残高対給水収益比率は、積極的に管路更新等を行っていることから借入額が償還額を上回っていること、料金改定は行ったものの人口減少が給水収益に減少の影響を及ぼしていること等から上昇傾向が続いている。料金改定を行ったことにより、上昇幅は抑えられたものの、借入額が大きいことから、比率は増加している。料金回収率については、料金改定による供給単価の増及び費用の減による給水原価の減少により、前年度に比べ増加している。本市では、漏水調査を行うなど、漏水の早期発見に努めており、有収率は、類似団体平均値より高くなっている。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値よりも高くなっている。令和元年度以降は甲田浄水場浄水部門を廃止したため、平成30年度以前と比較し有形固定資産減価償却累計額が減少し有形固定資産減価償却率は低下している。また令和3年度については、用途廃止した施設の除却を行ったことも有形固定資産減価償却率の低下に影響した。しかしながら、法定耐用年数に近い資産がまだ多い状況であり、類似団体平均値より高い数値となっている。同様に、管路経年化率についても類似団体平均値と比較すると高く、老朽化した管路が多くなっている。令和3年度は、昭和56年度に布設した金剛東地区の配水管が耐用年数を迎えたことにより、管路経年化率が大きく増加している。このような状況を踏まえ、本市では以前から更新工事に積極的に取り組んでおり、管路更新率は高い数値を維持している。
全体総括
管路の老朽化に加え、配水池の更新時期も迎えており、更新費用が増大していくことが予想される。資金残高と配水池の更新にかかる費用に注視しながら、管路の更新を行っていく必要がある。令和3年度では水道ビジョンの改定を行った。事業を着実に進めていくためには、資金の確保と経費の抑制が課題となってくる。甲田浄水場浄水機能の廃止による後年度に負担すべきであった修繕費及び更新費用の抑制、マイクロ水力発電事業による新たな収益の確保、他市と漏水調査業務の共同発注を行うことでの経費の抑制などを行ってきた。令和3年度では水道料金の15%の増額改定を行った。今後は遊休地売却による財源確保や企業団との統合による広域化も検討しながら、減少する水需要にあわせて施設の統廃合を進めることにより、安心・安全な水の供給を継続していくために経営の改善を行っていく必要がある。