経営の健全性・効率性について
①経常収支比率について、本年度は損益計算書上で約8,082万円の純利益が発生し、経常収支比率が105.24%となりました。類似団体平均値107.87%を約2.5ポイント下回りました。②累積欠損金比率について、累積欠損金がないので0となりました。③流動比率について、17.62%となりました。類似団体平均値37.20%と比べて低いのは、保有している現預金が少ないこと、過去の下水道整備への投資や事業費を補うために借り入れた企業債の償還金の割合が大きいことが主な要因です。④企業債残高対事業規模比率について、681.93%となりました。類似団体平均値843.72%と比べて低いのは、近年企業債の償還がある程度進んでいることが主な要因であり、当該比率は改善傾向と考えられます。⑤経費回収率について、115.82%となっており、100%以上の水準となっております。これは流域下水道への接続により、汐見下水処理場において処理機能を廃止し、ポンプ場機能の施設へ改善したことによる経費節減効果によるものと考えられます。⑥汚水処理原価について、127.70円となりました。類似団体平均値129.90円とほぼ同水準ですが、流域下水道への維持管理負担金が年々増加傾向にあります。⑦施設利用率について、本市では単独処理場を設置していないため、当該値を計上していません。⑧水洗化率について、90.17%となりました。類似団体平均値95.96%を下回っている状況ですが、人口密集地での下水道の整備を急速に進捗したため、それに水洗化が追い付いていないものと考えられます。※令和2年度より地方公営企業法を一部適用したため、令和元年度以前の数値は計上していません。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率について、46.93%となりました。類似団体平均値20.23%と比べて高くなっており、将来の施設の改築や更新の必要性が比較的高いものと考えられます。②管渠老朽化率について、本市の下水道施設は、経過年数が50年に満たないため、本格的な老朽化対策の時期は到来しておらず、0となっています。③について、上記と同様の理由で当該値が0.00%となっているものです。
全体総括
令和2年4月1日から公営企業法を適用し、法適化後の初年度決算は約8,000万円の黒字を計上しました。しかし、近年の人口減少傾向や有収水量の減少傾向による下水道使用料の減が見込まれるなかで、継続的に下水道施設の建設・更新工事や維持管理を行っていくための財源を将来に渡って確保し続ける必要があります。持続可能な下水道事業の運営を行っていくためにも、本市におきましても、総務省より要請された「経営戦略」を令和2年度に策定・公表したところです。企業会計の趣旨に則った収支計画により、計画的な建設・更新工事、下水道施設の効率的な維持管理、費用対効果を踏まえた経費の節減など経営の効率化に努めるとともに、下水道使用料の適正化を含め将来を見据えつつ、経営基盤の強化を図り、継続的で健全な下水道経営を目指していきます。