地域において担っている役割
当院は、急性期医療を中心に基幹医療を提供し、地域の中核病院として地域全体の医療・福祉の向上に寄与している。救急医療・小児医療に加え、平成22年には、地域周産期母子医療センターをオープンし、地域住民が安心して分娩と子育てができる環境の整備を行い、市民の健康を守る総合病院として地域医療を行っている。
経営の健全性・効率性について
病床利用率については、平成28年度以降、類似病院平均値を下回っており、令和2年度は近隣病院との競合により入院稼働率が低下していることに加え、新型コロナウイルスによる影響により入外来ともに患者数、収益が大きく減少した。医業収支比率については、医業収益が前年度より減少したことで、前年に比べて14.4ポイント低くなった。また、累積欠損金比率については、令和2年度は補助金や市からの追加繰入等により経常損失額が減少し、純利益を計上する結果となったが、比率計算上分母にあたる医業収益の減により、前年度よりさらに比率が高くなっている。収益については、入院患者1人1日当たり収益(入院単価)及び外来患者1人1日当たり収益(外来単価)は、単価の低い慢性疾患患者の受け入れも多いこと等の要因により類似病院平均値を下回っている。
老朽化の状況について
現在の建物は平成10年に建替えを行い、地域周産期母子医療センターについては平成22年に整備したものであるが、施設全体の老朽の度合いを示す有形固定資産減価償却率が年々上昇しており、平成28年以降、類似病院平均値を上回る結果となっている。器械備品減価償却率についても、類似病院平均値を上回っているため、施設・器械備品の計画的な更新が必要と考えられる。
全体総括
平成28年11月に国が示したガイドラインに沿って新公立病院改革プランを策定し、病床利用率の向上、医業収益の確保に向けた経営改善の取組を進めてきたが、令和元年度後半からの新型コロナウイルス感染症の流行による影響が長引き、最終年度の令和2年度において、プランの達成は実現できなかった。今後は、新たに示されるガイドラインの動向に注視しつつ、これまでの取組みを基本的に踏襲した日々の業務改善に努める一方、病院事業会計の抜本的な立て直しを図るため、本院と地理的に隣接し、かつ機能的にも類似・重複する病院との機能統合、再編・ネットワーク化の早期の実現を目指す。