経営の健全性・効率性について
収益性については、平成26年1月の下水道使用料改定及び終末処理場の維持管理費用の削減により、①経常収支比率は100%を上回って推移しているものの、類似団体平均値を下回った。⑤経費回収率は、令和元年度に引き続き100%を上回り、類似団体平均値を上回った。また、②累積欠損金比率は、類似団体平均値を大きく上回っている。令和元年度までは使用料改定及び終末処理場の維持管理費用の削減により減少傾向にあったが、令和2年度は下水道使用料の減により増加に転じた。⑥汚水処理原価については、類似団体平均値を下回っている。これは、早くから下水道整備に取り組んだことにより、整備にかかるコストが安価であったこと、また、耐用年数を超過した施設が増加していることなどが要因である。財政状態については、③流動比率が100%を上回っていることから、一年以内に支払うべき債務に対して支払うことが出来る現金等を十分に保有している状況にある。また、④企業債残高対事業規模比率は、下水道の早期整備により、令和元年度までは類似団体平均値と比較して低い水準で推移していたが、令和2年度は企業債残高の増に対し営業収益が減少したため、類似団体平均値近くまで増加した。施設の活用について、⑦施設利用率は、平成26~令和2年度までほぼ横ばいで推移している。⑧水洗化率は99.94%であり、概ね100%を達成している。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、類似団体平均値を大きく上回っている。終末処理場施設更新などを行っているが、下水道の早期整備により、法定耐用年数に近い、または法定耐用年数を超えた資産が増加していることから、微増傾向にある。②管渠老朽化率については年々増加しており、令和2年度は29.23%となり、類似団体平均値を大きく上回っている。③管渠改善率については令和2年度よりストックマネジメント計画に基づいた更新事業を行っており、今後増加していく見込みである。
全体総括
平成26年1月の下水道使用料の改定や下水処理施設の維持管理費用の削減により、経常収支比率及び、経費回収率は改善したものの、累積欠損金を解消するには至っておらず、今後は平成29年度に策定し令和4年度に改定を行う経営戦略に基づき、中長期的な視点で将来を見据え、人件費を含む維持管理経費の削減等、経営の健全化を図っていく必要がある。更新については、ストックマネジメント計画(令和2~6年度)に基づき、緊急度の高い箇所から、計画的・効率的に行っていく。耐震化については、総合地震対策計画(令和2~6年度)に基づき、計画的に進めていく。