地域において担っている役割
地域医療支援病院として、かかりつけ医の支援など地域医療の充実と効率的な医療提供体制の確保を進めるとともに、救急告示病院として、豊能医療圏における二次救急医療の一翼を担い、安全・安心な医療の提供に寄与している。加えて、大阪府がん診療拠点病院として、地域におけるがん医療の充実を図っている。また、厚生労働省が指定する臨床研修病院として、医科及び歯科の研修医を受け入れ、指導及び研修を実施しており、次世代を担う医師の育成にも注力している。
経営の健全性・効率性について
医療需要を踏まえつつ診療機能の強化・充実を図ってきた結果、診療単価の上昇などで増収につながり、経費削減の取り組みも相まって、医業収支比率、経常収支比率ともに良化傾向にある。「コロナ禍」によって入院、外来ともに患者数が大幅に減少する中、公立病院として新型コロナウイルス感染症患者への対応を行いつつ、一方では通常診療も継続的に行い、診療単価のさらなる上昇につながった。その結果、医業収支比率は前年度に比べて2.7ポイントの減少と、類似病院に比べて低く抑えられ、補助金の活用もあって経常収支での黒字化を達成した。
老朽化の状況について
平成9年の本館建設から20年以上が、平成16年の東館建設から15年以上が、それぞれ経過しており、有形固定資産減価償却率は高くなっている。器械備品減価償却率については、近年、大型医療機器の更新を進めたため、類似病院平均値よりも低くなっていたが、財源を老朽化施設の改修に回し、器械備品の更新を抑えたため、比率は類似病院並みに戻った。MRIやCT、リニアックといった高額医療機器を保有し、地域の基幹病院として高度な医療が提供できる体制を整えているため、1床当たり有形固定資産の額は類似病院平均値や全国平均よりも高くなっている。
全体総括
診療機能の強化・充実の取り組みが収益性の向上につながっているものの、必要経費である人件費や材料費なども増加傾向にあり、恒常的な財務体質の改善には至っておらず、累積欠損金比率は依然として高い水準を維持している。今後、施設の老朽化対策を順次進め、維持補修や大規模改修にかかる支出は増加していく見込みである。内部留保資金が乏しい中、医療機器等の更新と並行して実施するため、財政推計を踏まえて計画的に実施する必要がある。市の財政状況も厳しく、一般会計からの繰入金を増額することは難しいため、一層の収益性向上と経費削減が不可欠であり、再編・統合も含めた公立病院改革が全国的に議論される中、経営形態も含めたさらなる検討も必要と認識している。