地域において担っている役割
地域医療支援病院として、かかりつけ医を支援し、地域医療の充実と効率的な医療提供体制を確保するとともに、救急告示病院として、豊能医療圏における二次救急医療を担い、安全・安心な医療の提供に寄与している。また、厚生労働省が指定する臨床研修病院として、医科及び歯科の研修医を受け入れ、指導及び研修を実施しているほか、大阪府がん診療拠点病院として、地域におけるがん医療の充実を図っている。
経営の健全性・効率性について
医療需要の動向を踏まえた診療機能の強化・充実を図ってきた結果、経営面では診療単価の上昇につながり、従前から取り組んでいる経費削減の効果も相まって、経常収支比率及び医業収支比率は改善傾向にある。平成29年度は、呼吸器内科及び呼吸器外科の新規標榜や循環器内科の体制充実、救急搬送患者の積極的な受け入れなどで入院収益が増加し、医業収支比率は100%を超えたものの、類似病院と比較して医業外収益での一般会計繰入金が少なく、経常収支比率では100%を下回っている。経常収支が改善傾向にあるものの、依然として赤字決算が続いており、累積欠損金は増える一方であるため、累積欠損金比率は類似病院平均値より大幅に高い状態にある。
老朽化の状況について
平成9年に本館を建設してから20年が経過し、平成16年の東館建設からも10年以上が経過しているため、有形固定資産減価償却率は高い状態にある。器械備品減価償却率については、機能が保たれていることを前提として、器械・備品は法定耐用年数を超えても使用することが多いため、他病院と同様、高い比率で推移している。なお、平成29年度に医療情報システム(電子カルテ)をはじめとする約10億円の器械・備品を整備したことから、比率は大幅に低下している。MRIやCT、リニアックといった高額医療機器を整備し、地域医療における基幹病院として高度な医療を提供する体制を維持しているため、1床当たり有形固定資産の額は類似病院平均値や全国平均よりも高い値となっている。
全体総括
診療機能の強化・充実が収益性の向上に結びついており、経常収支比率及び医業収支比率は上昇傾向にあるが、一方で人件費や材料費も増加傾向にあるため黒字化には至っておらず、累積欠損金は増加し続けている。また、材料費が増加傾向にあることなどに加え、施設の老朽化によって今後は維持補修費も増加していくと考えられるため、公立病院としての機能は維持しつつ、収益性が見込まれる診療科への資源の重点化も検討する必要があると考える。市の財政状況も非常に厳しいことから、一般会計繰入金は現状維持も難しいと認識しており、経営の健全化を図る上では一層の収益性向上と経費削減が必要不可欠であり、中期経営計画に基づいて平成32年度までに経常収支での黒字化をめざす。