経営の健全性・効率性について
平成29年度は、平成28年10月に平均11.2%増となる料金改定を実施したことにより給水収益が増加したため、⑤料金回収率、①経常収支比率ともに昨年度より向上しています。さらに、⑧有収率は、漏水調査とそれに基づく漏水対策の継続的な実施により平均値を大きく上回る95%以上を維持しており、今後においても効率的な配水に努めます。また、人口減少や節水機器の普及等による水需要の減少により、⑦施設利用率は減少傾向にありますが、猛暑・積雪等の気象状況の影響などにより昨年度よりも若干上昇しました。一方、⑥給水原価につきましては、経費削減に努めてまいりましたが、台風等の影響により修繕費が増加したことなどにより経常費用が増加したため、昨年度より増の126円となりました。さらに、基幹浄水場、老朽管の更新や耐震化経費の増加に対応するため、その財源である企業債の借入を増加させていることから、企業債残高は、料金収入額の4.3倍に達しています(④企業債残高対給水収益比率)。また、料金改定を実施したものの、内部留保資金も更新経費に活用しており、現預金残高が他市と比べて少ないことから、③流動比率は類似団体平均356%の4割程度の158%しかなく、資金的に厳しい状況となっています。
老朽化の状況について
法定耐用年数を超えた水道管の比率(②管路経年化率)は、年々増加し、平成29年度末には、約22%にまで達しました。これは、類似団体平均(14.48%)や全国平均(15.89%)と比べて高い数値となっています。さらに、平成27年度から平成29年度にかけては、基幹浄水場の更新費用がピークとなり、③管路更新率が年々減少しております。こうしたことから、経年管路の更新については、水道ビジョンに基づき、中長期的に更新することとしており、平成30年度以降、順次更新事業費を増額させる予定としています。また、耐久性や耐震性に優れた管種で更新することにより、安定供給と今後の更新経費の低減化を図ることとしております。
全体総括
平成28年10月の料金改定により料金収入が増加し、水道事業の損益は黒字を確保していますが、①施設は年々老朽化しており、更新経費を増加させる必要のあること、②給水収益は減収傾向であること、③企業債残高が増加傾向にあること、④内部留保資金の余裕は少ないといった経営状況にあり、さらに平成30年4月1日から簡易水道事業を水道事業に引き継ぐことにより、一般会計から一定の支援を受けるものの、より厳しい経営となることが予想されます。今後の経営につきましては、平成30年度に中期経営計画となる経営戦略の策定に着手し、将来にわたり安心で安全な水道水を安定的に供給できるよう努めてまいります。