地域において担っている役割
当院は、救命救急センター、地域がん診療連携拠点病院、第2種感染症指定医療機関、災害拠点病院、周産期医療病院、中丹地域リハビリテーション支援センターに指定されるなど、京都府北部の医療拠点として高度・専門的な医療の提供とともに、医師、看護師等の医療人材の養成施設としての役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
経常収支は100%を上回っており経営状況は概ね良好であるが、新型コロナウイルス感染症の院内発生により一時的に入院の新規受入を停止し、外来診療機能の一部を制限したことにより、診療収入が落ち込み、医業収支比率は100%を下回った。病床利用率も2月までは前年度並みに推移していたものの、入院制限の影響を受け前年度を下回った。診療単価については、入院、外来ともに抗がん剤等高額注射薬剤投与の増加等により前年を上回ったが、材料費対医業収益比率は高くなった。
老朽化の状況について
平成18年の病院全面改築から13年を経過し、改築に伴い整備した大型医療機器等の更新を順次進めるとともに、地域の医療ニーズに応えるためMRI装置を増設するなど医療機能の強化に努めている。平成29年度以降は高額医療機器の更新を順次進めており、その影響により平成30年度以降における器械備品の減価償却率は平均より下回っている。病院機能を果たすため、放射線治療機器などの大型で高額な機器を整備しているため1床当たりの有形固定資産額は多くなっている。
全体総括
新型コロナウイルス感染症の発生により収益が落ち込んだが、年間を通しての財務状況は概ね良好である。また、令和元年度は、過年度の会計処理誤りの修正により特別利益を計上したため、累積欠損金が大幅に減少した。なお、全面改築から13年を経過し、施設・設備の経年劣化による維持管理や大型医療機器の更新等に多くの費用を要することが考えられるため、今後の人口動態、疾病構造、医療政策などを的確に把握し計画的で合理的、効率的な事業運営をしていく必要がある。