地域において担っている役割
甲賀保健医療圏域の基幹病院として、24時間365日対応の救急医療やDMAT隊を有する災害拠点病院、地域の医療機関と連携を進める地域医療支援病院としての役割以外にも担うべき医療として、5疾病(ガン・脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、精神疾患・認知症)5事業を中心に、地域がん診療病院、第二種感染症指定医療機関等の役割を担っている。また、居宅介護事業や入退院支援センターを設置し地域包括ケアシステムの推進を強化している。令和2年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大のため、県から感染症入院患者の受け入れ要請を受け、感染症病床の増床(令和2年度末時点で当初の4床から18床まで増床)と看護師の病棟配置の再編を行い入院医療体制を整えた。また甲賀湖南医師会との協働によるPCR検査センターの運営も行った。
経営の健全性・効率性について
入院患者数はコロナの影響により減少し、病床利用率も前年度より下がったが、両平均値(全国平均及び類似病院平均値)よりは上回っている。入院および外来患者1人1日当たり収益は、前年度より上昇しているが両平均値には届いていない。材料費比率は、後発医薬品導入率の上昇や価格交渉に努めたことにより両平均値を下回っている。職員給与費比率は、医師等の職員増や一時金支給等で給与費が増加したが、令和2年度は新型コロナ感染症関連補助金を受けたことで前年度より下がり、両平均値も下回っている。医業収支では入院患者数が減少したものの、診療単価の上昇が収入増を生み、全国平均値より上回り、類似病院平均値とほぼ同じとなっている。経常収支比率は、補助金もあり、前年度より改善したが両平均値には届いていない。
老朽化の状況について
病院建物は移転新築後まだ8年しか経過していないため、有形固定資産減価償却率は両平均値を下回っているが、器械備品については多くの資産が耐用年数を超えたため償却率が上がり、両平均値をこえている。1床当たり有形固定資産の数値も、昨年度の独法時に会計上、資産として引き継がれなかった資産が多かったため、両平均値を下回っている。今年度は、主に新型コロナ感染症対策としての人工呼吸器、患者監視装置、PCR検査装置、陰圧式エアーテント等を緊急整備し入退院支援センター改修と空調設備保全工事を施工した。令和3年度は、空調設備保全工事(第二期)やオンライン資格確認システム、電動ベッドや内視鏡等の医療機器の整備を行う予定である。
全体総括
今年度は独法化2年目の経営方針として以下の3点に重点を置き運営に努めてきた。①「断らない救急」では、昨年度から最重点事項として引き続き取り組み、甲賀保健医療圏域の中核病院として、圏域内の救急告示病院および滋賀医科大学付属病院との連携をとりながら、院長指示の下、職員の意識改革を促進した結果、救急搬送受け入れ率は97.5%と前年度を上回った。②「看護師のQOL向上」では、各種会議体を通じて看護師の負担軽減を継続的な労務管理と多職種の継続支援を行った。それに伴い離職率も低下した。看護師の採用面では、様々な説明会への参加や、就職情報サイトの利用や人材紹介業者の導入等にも取り組んでいる。③「新型コロナ対策」では、甲賀保健医療県域の第二種感染症指定医療機関として、院内感染対策チームを中心に院内感染防止対策の強化を図りながら、感染流行の拡大による県からの要請を受け、新型コロナ患者専用病床(令和2年度末時点18床)を整備し、受け入れに対応、救急医療と一般医療との両立に注力した。