地域において担っている役割
がんをはじめとした専門分野において、手術、化学療法、放射線治療のほか、リハビリテーション、再建医療、緩和ケアも含めた多角的総合的な医療、ケアを提供するなど、県内全域を対象とした、高度な医療の提供を担っている。また、令和2年4月より重点医療機関として新型コロナウイルス感染症患者の受入を開始しており、専用病床を確保するとともに帰国者・接触者外来や地域外来・検査センターを設置するなど、感染拡大に備えた医療提供体制を整えている。
経営の健全性・効率性について
・新型コロナウイルス感染症患者受入れによる病床休止や診療制限等の影響により患者数、医業収益はともに減少し、医業収支比率も減少した。一方、入院外来ともに診療単価が上昇し、新型コロナウイルス感染症対策に積極的に取り組み補助金を活用した結果、経常収支比率は改善した。・コロナ患者専用病床確保、それに伴う休止病床の影響により病床利用率が減少した。・医業収益の減少により職員給与費対医業収益比率が増加した。・高額な抗がん剤治療にも幅広く対応しているため、材料費対医業収益比率が前年度と同様に全国平均を上回っている。
老朽化の状況について
・有形固定資産については平成28年度に建設した新病棟にかかる減価償却額が累積し、有形固定資産減価償却率が増加している。・器械備品について、全国平均と同水準となっている。医療技術が高度化する中で、引き続き、安全で質の高い医療を提供していくため、医療機器の整備と計画的な更新を進めていく必要がある。・高度な医療の提供に向けた、建物、医療機器等の整備を進めていることにより、1床当たり有形固定資産の保有が全国平均よりも多い傾向が見られる。
全体総括
当院では、がん、血管病(脳神経、循環器など)をはじめ、加齢に伴って複合的に生じる疾患に対して困難な症例にも対応できるよう高い専門性を有する人材を確保するとともに、高度な設備、機器を整備してきたところ。令和2年度は診療単価増や補助金の活用により経常収支が100%を上回った。一方でコロナウイルス感染症拡大により医業収益は減少した。今後も引き続き、安全で質の高い医療の提供に努めて、収益の確保につなげていくとともに、労働生産性の向上による時間外勤務の縮減や価格交渉による材料費の削減など費用の適正化を図り、累積欠損金を減少させていく必要がある。また、アフターコロナに向けて患者数や医業収支等を改善していくことも今後の課題である。