経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については前年と比較し、0.31ポイント上昇した。令和元年度の変動要因は資産減耗費の減少であり、一過性の事象だと考えられる。③流動比率については、60.22ポイント上昇した。これは年度末における流動負債(未払金)の残高が減少し、指標の分母が小さくなったことにより、上昇したと考えられる。この指標から現時点において短期的な支払能力に支障はないことが示されている。④企業債残高対給水収益比率は6.97ポイント減少した。企業債の借り入れを抑制しているため、企業債の償還が進んでいるためである。⑤料金回収率および⑥給水原価については前年とほぼ同じ数値であり、おおむね良好である。⑦施設利用率については、平成26年度以降から大きく減少したが、これは西町配水場の整備により配水能力が向上したためである。今後、令和10年度に知立浄水場を廃止することが決定しており、これにより配水能力の最適化を図ることが可能になると考えている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は年々増加しており、固定資産の老朽化が進んでいる。②管路経年化率については類似団体の平均を超えているが、令和元年度については下水道布設等他事業関連の工事にあわせ老朽管の布設替を進めたため、③管路更新率が0.69ポイントと大きく上昇した。老朽管の布設替えは経営に大きな影響を与えるものとなるため、財政状況を踏まえ、慎重に検討をしていく必要がある。
全体総括
1.経営の健全性・効率性についての各種指標より、現時点において類似団体と比較しても、安定した運営ができていると判断ができるものの、2.老朽化の状況の各種指標からは、設備の更新が十分にできていないことが読みとれる。高度経済成長期に集中的に投資が行われた施設・管路の更新を行うことが今後必要であり、人口減少による料金収入の減少も見据えた長期的なビジョンが重要となっている。当市では平成29年度に的確な現状把握の上に、中長期的な視野に基づく計画的な経営のため、将来の財政予測を踏まえた経営戦略を策定しており、この計画をもとに、安定的で継続的な水の供給を行っていく。この計画は計画期間を10年と定めているが、水道事業を取り巻く環境の変化を考慮し、中間年(令和4年度)に見直しをすることを想定している。