地域において担っている役割
病院機能の再検証対象医療機関として公表されたことにより、病床機能を急性期機能から回復期機能への転換を進め、患者の在宅復帰支援を積極的に行い医療と介護の連携を推進している。また、一宮市民病院の後方支援病院として連携を強化するとともに急性期治療を経過した回復期のリハビリ対象患者を受け入れる体制(365日実施)を整備し、地域の医療機関等から患者を受入れている。さらに、人工透析20床を備えており、透析導入から維持透析までを行う特殊部門に関わる医療の提供を担っている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は前年度に比べ低くなり、類似団体区分の平均値を下回っている。これは新型コロナの影響で入院・外来収益で収益が減少したためである。②医業収支比率は平均値と比較すると当院の数値が上回っており、経営の健全性は十分図られているが前年に比べると減少している。減少した主な要因は給与費などの費用が減少したものの医業収益の減少が上回ったためである。④病床利用率はコロナの影響もあり前年度を下回るものの、全国平均を上回っており、施設の効率性は図られている。⑤入院患者1人1日当たりの収益は平均値を下回るものの、地域包括ケア病床の有効活用により前年度より増加している。⑥外来患者1人1日当たりの収益は、人工透析を外来でおこなっているため、類似団体区分の平均を大きく上回っており、比較的安定した収益が確保できている。⑦職員給与費対医業収益比率については、医業収益の減少及び、医師の増員等により平均値を上回るものの、材料費については下回っており費用の効率性は図られている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び②器械備品減価償却率については、全国及び類似団体区分の平均値を上回っており、老朽化が進んでいる。建物、建物付属設備については空調・電気設備等の医療体制の維持に必要なものを優先的に実施するよう計画的に進めている。また、器械備品については、耐用年数を超えていても使用できるものについては使用しているが、年間の備品購入費を定め計画的に購入を進めている。③1床当たりの有形固定資産については、前年度より上昇したが全国及び類似団体区分の平均値を下回っており、過大な投資はしていない。上昇の主な要因は病床数が減少したため1床あたりの有形固定資産額が上がったためである。
全体総括
令和2年度は新型コロナの影響で医業収益が減少するなか、病院機能の再検証対象医療機関として回復期機能を有する病床へ転換するため病床数を減らすことになった。今後は地域包括ケア病床を上手く活用し安定した収益を図るとともに後方支援病院として急性期治療を経過した患者や、他院の紹介等による入院患者を積極的に受入れ、病床利用率80%以上を保つことで施設の効率性を図りながら経営の健全性を維持する考えである。老朽化の状況については、病院建設後32年が経過し、建物本体には大きな支障はないものの、空調設備や電機設備などの建物付属設備は修繕で対応しながら計画的に改修していく。また耐用年数超過の器械備品は可能な限り使用し、過大な投資は今後も控える。新型コロナウイルス感染症の拡大により先行きは不透明であるが、引き続き適切な人員配置や材料費の削減、計画的な器械備品等の更新を行っていく。なお、平成29年度に策定した「一宮市病院事業新改革プラン」は令和2年度で終了しており、令和4年度に新たな改革プランの策定を予定している。