地域において担っている役割
市民病院の後方支援病院として連携を強化するとともに急性期治療を経過した回復期のリハビリ対象患者を受け入れる体制(365日実施)を整備し、地域の医療機関等から患者を受入れている。また、地域包括ケア病床(33床)を有し、患者の在宅復帰支援を積極的に行い医療と介護の連携を推進している。さらに、人工透析20床を備えており、透析導入から維持透析までを行う特殊部門に関わる医療の提供を担っている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は前年度に比べ低くなり、類似団体区分の平均値を下回っている。これは入院収益等で収益が増加したものの給与費及び委託料等の経費が増加し、経常費用の増加分が経常収益の増加分を上回ったためである。②医業収支比率は平均値と比較すると当院の数値が上回っており、経営の健全性は十分図られているが前年に比べると減少している。減少した主な要因は医業収益が増加したが給与費及び委託料等などの増加が上回ったためである。④病床利用率は医師の増員もあり、平均を上回っており、施設の効率性は十分図られている。⑤入院患者1人1日当たりの収益は平均値を下回るものの、地域包括ケア病床の有効活用により前年度より増加している。⑥外来患者1人1日当たりの収益は、人工透析を外来でおこなっているため平均値を大きく上回っており、比較的安定した収益が確保できている。⑦職員給与費対医業収益比率については、医師や医療技術職の増員により平均値を上回るものの、材料費については下回っており費用の効率性は図られている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び②器械備品減価償却率については、全国及び類似団体区分の平均値を上回っており、老朽化が進んでいる。建物、建物付属設備については修繕をしていく中で計画的に改修を検討していく必要がある。また、器械備品については、耐用年数を超えていても使用できるものについては使用しているが、年間の備品購入費を定め計画的に購入を進めている。③1床当たりの有形固定資産については、全国及び類似団体区分の平均値を下回っており、過大な投資はしていない。主な要因は耐用年数を超えていても使用できるものは更新をせず使用していることによるものである。
全体総括
令和元年度は一宮市民病院と共同で病院情報システムを導入し、患者情報の共有化を進め、市民病院との連携をさらに高めた。今後も後方支援病院として急性期治療を経過した患者や、他院の紹介等による入院患者を積極的に受入れ、病床利用率80%以上を保つことで施設の効率性を図りながら経営の健全性を維持する考えである。老朽化の状況については、病院建設後31年が経過し、建物本体には大きな支障はないものの、空調設備や電機設備などの建物付属設備は修繕で対応しながら計画的に改修していく。また耐用年数超過の器械備品は可能な限り使用し、過大な投資は今後も控える。新型コロナウイルス感染症の拡大により先行きは不透明であるが、引き続き適切な人員配置や材料費の削減、計画的な器械備品等の更新を行っていく。「一宮市病院事業新改革プラン」は平成29年度に策定している。