経営の健全性・効率性について
・①経常収支比率は、令和2年度と比べ0.16ポイント上昇し、全国及び類似団体区分の平均値と比べても高い水準である。下水道使用料等の減少により経常収益は減少したものの、減価償却費等の減少により経常費用が大きく減少したためである。今後も事業運営の効率化に努め、安定した経営を引き続き維持していく。・③流動比率は、令和2年度と比べ10.23ポイント上昇し、全国及び類似団体区分の平均値と比べても高い水準である。建設改良費等の増加により流動負債である未払金が増加したものの、国庫補助金等の増加により流動資産である現金預金が大きく増加したためである。引き続き支払能力を高めるべく経営改善を図る。・⑤経費回収率は、令和2年度と比べ0.09ポイント下降したものの、全国及び類似団体区分の平均値と比べても高い水準である。下水道使用料が減少した一方、動力費等の汚水処理費が増加したためである。・⑥汚水処理原価は、令和2年度と比べ0.32円増加したものの、全国及び類似団体区分の平均値より低い水準であった。動力費等の汚水処理費用が増加したためである。・⑦施設利用率は全国及び類似団体区分の平均値と比べ低い水準であるため、施設の利用状況を踏まえた規模の適正化について検討を進め、⑧水洗化率についても更なる向上に努める。
老朽化の状況について
・本市の下水道事業は、処理場を有する全国4番目の都市として昭和10年に野田処理場が運転を開始した歴史を有し、老朽化した資産・管渠を多く保有しているため、①有形固定資産減価償却率や②管渠老朽化率がともに類似団体平均値と比べ高くなっている。耐震診断に基づく施設の耐震化や老朽化した施設の計画的な更新と適切な維持管理による長寿命化を図ることが重要な課題となっていることから、今後も施設の修繕・改良・更新を計画的に推進する。・③管渠改善率は令和2年度と比べ0.01ポイント下降し、類似団体区分の平均値と比べ低い水準となっている。管渠施設の計画的な修繕・改良・更新を行っているが、1年間の修繕・改良・更新管渠延長が令和2年度と比べ減少したためである。今後も計画に基づき、維持修繕・改築更新を継続して行っていく予定である。
全体総括
・経営の健全性・効率性については、令和3年度決算は令和2年度に引き続き経常黒字となったが、今後も人口減少や節水機器の普及等により、使用料の増加が見込めないため、厳しい経営環境が続くことが予想される。老朽化した施設の長寿命化や更新投資も必要なことから、国庫補助金等の獲得、水洗化率の向上等による収入の確保に努めるとともに、事業運営の効率化等による総コストの縮減を図り、更なる経営安定化と、事業の着実な推進を目指す。・老朽化の状況については、今後管渠・施設の経過年数が増えていくことを踏まえて、長寿命化や更新投資を計画的に実施していく必要がある。・経営戦略については、令和2年度に策定済みとなっており、令和7年度に見直し予定である。