経営の健全性・効率性について
当町の公共下水道事業は、令和2年4月1日から地方公営企業法を適用し、公営企業会計に移行した。①経常収支比率は98.20%で費用を収益で賄えていない状況である。②累積欠損金は生じていないが、一般会計からの繰入金に依存している。③流動比率は24.91%と低く、現金の保有が少ないため、毎年度一般会計からの繰入金により企業債を償還している。④企業債の償還金については、全額一般会計からの繰入金によるものとしているため、0%となっている。⑤経費回収率は、42.61%と低く、使用料収入により汚水処理費を賄えておらず、一般会計からの繰入金に依存している状況にある。このため、令和2年度に策定した経営戦略において、使用料の改定を2段階で行い経費回収率100%を目指すこととした。⑥汚水処理原価は、他団体よりも高くなっているが、工務部門職員に係る給与費を収益的支出に予算計上していたことが主な要因である。予算計上を適切に改めるほか、引き続き機器更新時に省エネ機器とするなど汚水処理費の削減に努める必要がある。⑦施設利用率は、77.22%と平均値よりも高くなっており、良い利用状況であるが、現在も面整備を進めているため、流入量の変化に対応できるよう適切な処理場規模とする必要がある。⑧現在も面整備を進めているため、水洗化率は、平均よりも低い状況にあるが、使用料収入の増加に向けて接続率の向上に努める必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、3.44%と低いが、公営企業会計に移行した令和2年4月1日を資産取得年月日としているためである。②当町の下水道事業管渠整備は、平成2年度から行っており、耐用年数を超過する管渠はまだ無いが、ストックマネジメント計画に基づく点検調査を実施し、適切な維持管理に努めている。③管渠改善率は、0.09%となっているが、これは、下水道法施行令の改正及びストックマネジメント計画に基づく点検調査により判明した腐食箇所の更新となる。耐用年数を超える管渠はまだ無い状況であるが、点検調査結果に基づき、長寿命化を図る。
全体総括
本町の下水道事業は、現在も面整備を進めているが、令和2年度に策定した汚水処理ビジョンにより、全体計画面積を大幅に縮小する方針とした。また、これを受けて策定した経営戦略では、面整備は令和8年度には概成し、その後は改築更新事業にシフトすることとしている。令和2年度から公営企業会計を適用し、経営状況がより明らかとなったが、一般会計からの繰入金に大きく依存している状況であり、総務省基準による基準内の繰入金以外の繰入金にも依存している。本来、下水道使用料で賄うべき費用も賄えていない状況であることから、経営戦略においては、使用料改定を実施するとともに維持管理費用などの経費削減に努め、経費回収率の向上に取り組み下水道事業の経営改善を図ることとしている。