経営の健全性・効率性について
本特別会計は“離島”という地域的特殊性、かつその離島の中で“漁業集落排水”という極めて限られた区域内における事業である。またその特殊性として“観光的要素”も勘案する必要があることから、使用量についてピーク時を見据えた設計が必要であり「⑦施設利用率」が全体的に低く推移していることも特徴である。本会計は会計規模が極めて小さいことから“前年度繰越金”も運用しながら経営健全化に注力しており、これを勘案すると「①収益的収支比率」は事実上100%以上で推移している状況である。「⑤経費回収率」及び「⑥汚水処理原価」について、施設経年劣化に伴い前年度と同じく修繕費等の維持管理費用が増加したことで、経費回収率が低く推移し、汚染処理原価についても前年度と同等に推移している。また、歳入全体の約73%を“一般会計繰入金”により対応している状態である。“漁業集落排水”という限れらた区域内かつ「⑧水洗化率」100%の現状を勘案すると、これ以上の新規接続を望むことは困難な状況にあることから、今後も一般会計繰入金への依存度が高い状態で推移することが見込まれる。今後は令和2年度に策定する『経営戦略』等をベースに、より一層の経営健全化に注力し、少しでも一般会計繰入金に頼らない事業展開を目指すものである。
老朽化の状況について
平成19年4月の供用開始から令和元年度末で13年経過、施設や管渠は比較的新しい状態にあるものの、相応の経年劣化が進行しつつある。管渠については“漁業集落排水”区域内の布設は供用開始当初において概ね完了していることから、供用開始後に新たな管渠整備がなく、「③管渠更新率」もゼロで推移している。今後は、長期的視点に立った計画的な維持管理は不可欠であることから、令和元(平成31)年度に策定した『機能保全計画』等をベースに、より計画的、効率的な施設等の維持管理を目指すものである。
全体総括
“離島”かつ“漁業集落排水”という特殊要因から、一般会計繰入金に依存する事業が今後も続くものと見込まれる。さらに今後は施設や管渠の老朽化の進行に伴う修繕費等の維持管理費用の増加が見込まれることから、令和元(平成31)年度に策定した『機能保全計画』に基づく計画的な維持管理を行い、令和2年度に策定する『経営戦略』に基づき、経費削減をはじめとするより一層の経営努力により、少しでも一般会計繰入金に依存しない事業展開を進めるよう注力していくものである。