経営の健全性・効率性について
山県市公共下水道は平成15年度より3期5年間(15年間)で施設整備を行っており、平成29年度をもって管渠工事が完了しました。処理施設の供用開始は平成20年4月より開始し、管渠整備(拡張工事)が完了した地域単位で毎年供用開始区域を拡張し、平成30年8月で目標の計画区域全体が供用開始されました。①収益的収支比率:汚水処理設備の稼働による維持管理費等の経費が年々増加しており、供用開始区域拡張による下水道への接続家庭(普及率48.9%)が伸び悩んでいます。今後においては、未接続家庭への訪問を実施し、積極的に接続推進を進めると共に、経費削減に心がけ、単年度収支が黒字となるように努めます。④企業債残高対事業規模比率:料金収入で維持管理費が賄えないことから、一般会計からの繰入がないと地方債の償還ができない状況にあります。⑤経費回収率:使用料収入は、前年度に比べ約9,254千円の増加、汚水処理費は約1,248千円増加しましたが回収率は前年から(約△0.12%)となりました。普及率向上による使用料収入の確保及び更なる処理費用の削減に努めます。⑥汚水処理原価:維持管理費用の削減のため、処理施設の統合により、物理的な費用削減や施設規模の処理能力において最適な運転管理に努めることで原価を抑えた経営が急務となっております。⑦施設利用率:利用率は向上線を描いているが、全区域の供用を開始した現在において、接続率の向上が利用率の向上に直結しているため、未接続者への早期接続推進の啓発に努めます。⑧水洗化率:他団体に比べ非常に低い状況にあり、下水道への切替えの啓発を行いますが、汲み取りトイレ・浄化槽設置世帯が多く費用負担の増が支障となっています。
老朽化の状況について
供用開始は平成20年で、平成15年より整備した布設総延長は116kmとなりました。現在は管路が比較的新しい管ではあるものの老朽化は必ず進行しますので、将来を見据えた安定的な更新計画の策定、更新工事に必要となる財源確保が課題となってきます。まずは、現状の管渠の老朽化状況、雨水等の流入状況などを把握するため、管渠内の調査を定期的に行なうことで管渠の情報把握に努め、修繕等により長寿命化を実施します。また、令和6年度には法適用の事業団体となり、管渠等の更新費用捻出として減価償却費の予算計上が可能となるため、法適化の準備を進めています。
全体総括
現在、水洗化率は、類似団体に比べ非常に低い状況にあり、今後も人口減少等により下水道利用の低迷が予想されます。将来到来する施設更新等にあたり、現時点では一般会計繰入金に頼った運営が必須となります。したがって、既存施設の稼動状況等を常時把握し、効率的な運転管理に努め、未接続者に対する下水道接続推進を強化、又は現在使用している使用者へは収納率向上に努め、安定的に持続していくよう不断の取組みを実施し、限りなく一般会計に頼らない下水道事業経営に努めることが必要である。