経営の健全性・効率性について
①経常収支比率及び⑤料金回収率から見ると、両指数とも100%以上であり、一見経営の健全性・効率性が保たれているが、①有形固定資産減価償却率が高く、管渠の大部分が耐用年数満了が近づいており、近年更新予定の浄水施設の投資を含めると、財源確保が必要である。⑥給水原価においては、類似団体平均値を大きく下回っており、維持管理経費等の費用が抑制され効率的に使われていることがわかる。反面、⑦施設利用率は、自然人口増加と夏期観光人口の増加を見込んで計画された施設であるが、人口減少や新型コロナウイルス対策の影響でイベント中止等による観光客の減少が見られ、配水能力を大きく下回るが、⑧有収率は高く、性能が維持されて稼働が収益に反映し、類似団体平均値を大きく上回り90%以上を維持している。④企業債残高対給水収益比率は、平成19年度に企業債の償還が全て終了しているため、以降の数値は該当なしとなる。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率が高いことから耐用年数満了が近づいており、浄水施設をはじめ事業開始当初からの施設の更新・耐震化等を計画的に実施していく必要がある。②管渠の経年化率は、大部分が50%を超えており、こちらも耐震化を含め計画的に更新を実施していく必要がある。③管路更新率については、現在のところ下水工事などの公共工事の際に合わせて更新している箇所もあるが、今後は基幹管路や市街地、町の重要施設への管路を中心とする事業計画を立案中である。
全体総括
給水人口の減少、節水意識・器具等の機能向上など給水量は減少傾向にあるため、今後の施設更新は現況に見合う性能(機能・耐用年数・規模)を検討し、管渠についても40年を大きく超える耐用年数の長いものが普及しつつあり、強靭な施設維持のため、耐震化とともに更新計画を立案を行い事業を実施していく。また、経営戦略をもとに、今後の更新費用の増加と水道料金収入の減少を推測し、使用者の理解のうえで適正な価格設定を計画的に行う必要がある。以上を踏まえ、将来にわたって持続可能な水道事業を構築するため、「水道水の安全性の確保」、「供給体制の持続性の確保」、「確実な給水の確保」に努めていく。