経営の健全性・効率性について
当市の特定公共下水道は、東部工業団地染色5社から排除される染色排水の処理を目的にしているものであり、使用料は通常の公共下水道事業とは異なる料金体系で、月々の処理水量に応じて染色5社から徴収している。また維持管理は染色組合に委託し、他会計からの繰入等もなく、完全に独立採算で行われている。④の企業債残高が大きい理由は、特定公共下水道としての認可の条件に排水の水質改善が挙げられたことにより、平成23~28年度にかけて処理場の改善整備を行ったためである。施設は市の財産なので、改善整備は市で行った(補助・起債)が、当該元利償還金については、受益者である染色5社との協定に基づき、適正に負担金を徴収している。今後企業債残高は減っていく見込みだが、元利均等方式を採っているため、多額の償還金支払はしばらく続くことになる。
老朽化の状況について
東工汚水処理場(特定公共下水道事業の終末処理場)の稼働開始は昭和49年10月であり、当初布設した染色排水管の著しい老朽化による道路陥没の危険性が生じたため、平成19年に別ルートの新たな排水管を布設した。また平成23~28年度にかけ、水質改善のための処理場改善整備工事を行ったところである。現在、管路・処理場ともにまだ老朽化対策は緊急課題ではない思われるが、昨今の災害発生状況を鑑みるに、耐震化・耐水化の防災対策が必至の課題となっている。令和3年度に診断等を実施し順次計画策定、施設更新を行う等、必要な対策を講じる予定である。
全体総括
1でも述べたとおり、当該下水道は特定の工業団地からの染色排水処理を目的としているものであるので、今後とも受益者である染色工業組合と協議を重ね、適正な維持管理等に努めていく。施設の運転維持管理費用は、事業者からの使用料収入で賄う。また建設改良に要した経費は、特定公共下水道事業における費用負担の原則どおり、国庫補助分を除いた額を市と特定事業者とで折半し、適正な事業運営を行う。今後も必要な点検・調査、修繕・改築を進め、更なる施設管理の最適化を行い、公共水域の保全に努めていく。