経営の健全性・効率性について
今後の老朽化対策等の投資増加に備えて、効率的な維持管理や適切な料金設定により、経営の安定と資金確保に努めている。そのため、経営収支比率および経費回収率は、工場団地内の汚水処理を行っているため景気動向による一時的な処理水量の低下や、大規模施設の更新に伴う資産減耗費の増加、26年度の会計制度の見直しによるみなし償却制度廃止などの要因により変動は見られるが、指数は100%以上を確保し、類似団体の平均値を上回っている。また、今後の更新費用についても料金により確保できる見込みである。流動比率については、現金預金残高はぼ一定であるが、23年度から施設の増設等のための建設事業費の未払金により流動負債が増加し、大幅に低下しているが、それ以降は一定の水準を維持している。この未払金については3月末の工事完了、4月に支払いを終えており、今後も引き続き健全な経営に取り組んでいく。汚水処理原価に関しては、汚水処理量のほとんどを工場の生産工程からの排水が占めており、生物処理に加え、ろ過設備や活性炭吸着設備による処理を行っているため、類似団体平均に比べ高く推移しているが、料金収入により必要経費を回収しており問題ない。また、施設利用率についても良好な数字を維持している。
老朽化の状況について
運用開始20年程度経過した施設であるため、有形固定資産減価償却率は類似団体平均値と同程度、および管渠老朽化率は低く、管路以外の施設の老朽化の度合は高くなっている。老朽化対策については、機能維持や安全性確保のため、点検・診断・修繕・更新等のメンテナンスサイクルにより、長寿命化や設備投資の抑制など、中長期的な視点で計画的に進めている。今後策定予定の経営戦略において、計画的かつ効率的な更新計画を設定し、老朽化対策に取り組んでいく。
全体総括
現在の経営状況は健全で効率的な経営を行っていると判断できる。当事業は共用開始から20年以上が経過し、設備の老朽化は進んでいないが、塩害や工場排水の腐食成分などによる腐食が進行しており、今後、構築物や管路の維持修繕および設備の更新需要が増加する見込みである。また、供用開始当初に建設した浄化施設や管路等について耐震化が必要となっている。そのため、これらに見合う料金収入の確保および経費節減に努め、より一層経営の健全化・効率化に努めていく必要がある。