地域において担っている役割
当院は市内唯一の入院機能を有する病院として、急性期、回復期、慢性期と様々な病床機能を有している。また、救急医療、高度医療、災害医療、リハビリテーション、在宅医療、感染症医療など様々な医療を提供するとともに、離島を含むへき地において診療所を運営するなど幅広く、かつ、切れ目のない医療を提供し、本市における地域医療の中核的な役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、②医業収支比率ともに類似病院の平均値を大きく上回る状況であり、③累積欠損金比率についても、解消には至っていないものの年々改善傾向にある。これは、院内全体で効率的な病床運営に努めたことによる④病床利用率の維持により、収益の確保ができ、累積欠損金比率の改善に繋がったものと考える。しかしながら、⑤⑥患者1人1日当たりの収益が類似病院の平均値を大きく下回っている状況であり、院内体制の整備による新たな加算の取得や算定漏れの防止など積極的な収益確保に努めたい。
老朽化の状況について
病院建設から20年以上が経過しており、①有形固定資産減価償却率は、類似病院と比較しても高く、老朽化が進んでいる状況である。②器械備品減価償却率も、類似病院と比較し若干高い状況であり、耐用年数を超えている又は耐用年数に近づいている医療機器が増えてきていることから、効率的で効果的な機器等の更新を進める必要がある。③1床当たり有形固定資産も、類似病院と比較し高い状況であり、今後加速する人口減少、少子高齢化を見据え、規模に見合った効率的な投資となるよう中長期的な計画で実施することが必要である。
全体総括
近年の経営状況は、経常収支比率及び医業収支比率から判断しても概ね健全であると考える。病床利用率の維持又は向上をはじめとした効率的な経営に努めるとともに、老朽化した保有施設の長寿命化にも対応しなければならないと考える。一方で、公立病院を取り巻く環境は依然として厳しく、その中で人口減少や少子高齢化などにより多様化する医療ニーズや著しく変化する医療環境などに迅速かつ適切に対応するとともに、新型コロナウイルス感染症など感染症対策の一層の強化が求められるなど、限られた医療資源や財源の中で果たすべき役割は益々大きくなってきているが、地域の中核病院として関係機関と連携しながら良質で安全な医療の提供に努めたい。