経営の健全性・効率性について
当市は、経常収支比率及び料金回収率など類似団体・全国平均と比較し、低い数値を示しています。簡易水道事業は人口密度が低い地域をカバーする「福祉水道」とも言われる収益性の低い事業であり、当市の簡易水道事業も料金回収率は低く、給水原価は高い数値を示しています。過疎化による給水人口の減少に伴い給水収益が低下する一方、施設の維持管理にかかる費用は、地形的に施設統合等効率化が難しいため現在と同額または増加が見込まれることから、今後はさらに厳しい経営状況となることが想定されます。簡易水道事業は水道料金収入だけでは経営が成り立たないため、国からの建設改良に対する補助金や地方交付税、市の一般会計からの繰入金などの財政支援を受け経営が成り立っている状況です。今後、令和2年度に策定した更新計画に沿って施設の統廃合やダウンサイジングの実施に加え、水道料金の見直し等を実施していきます。
老朽化の状況について
当市の簡易水道施設は昭和30~40年代に半数以上が創設されており、施設の老朽化の状況は、類似団体・全国平均よりも高く、安全・安心な水道水を安定して供給することが難しい状態と言えます。マンパワー不足に加え、他事業関連工事に伴う配水管布設替工事への対応を優先せざるを得ず、耐用年数を超過した管路の更新工事が後回しになっている状況です。水道管の耐用年数は概ね40年程度であり、現在の更新率では耐用年数以内での管路更新は不可能な状態です。令和2年度に策定した更新計画に沿い、優先順位を加味しながら、水道水の安定供給に向けた老朽化対策を実施していきます。
全体総括
山間部・過疎地域の給水を担うことから、人口減少が著しく、基幹収入である給水収益は年々減少傾向にあります。また、施設数が多く管路の延長の距離の長さに加えてそれ自体の老朽化も拍車をかけ、その更新維持費用は増加傾向にあります。収支の改善と施設の老朽化への対応は喫緊の課題であるため、水道料金の見直しを検討するとともに、令和2年度に策定した更新計画に基づいた適正な工事の執行に努めます。令和2年度より簡易水道事業を法適化し、より正確な経営状況の把握が可能となりました。事業運営の効率化や健全化を図りながら、持続可能な経営を目指します。