経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、給水収益及び一般会計からの繰入金等による収益の増加により、前年度比41.80ポイント増の123.59%となり、類似団体・全国平均を上回っています。また、料金回収率は、前年度比9.03ポイント増の60.50%となりましたが、類似団体・全国平均を下回っています。簡易水道事業は人口密度が低い地域をカバーする「福祉水道」とも言われる収益性の低い事業であり、当市の簡易水道事業も料金回収率は低く、給水原価は高い数値を示しています。施設の維持管理にかかる費用は、地形的に施設統合等効率化が難しいことから現在と同額または増加が見込まれており、今後はさらに厳しい経営状況となることが想定されます。当市の簡易水道事業は水道料金収入だけでは経営が成り立たないため、国からの建設改良に対する補助金や地方交付税、市の一般会計からの繰入金などの財政支援を受けている状況です。今後、令和2年度に策定した更新計画に沿って施設の統廃合やダウンサイジングの実施に加え、水道料金の見直しを実施していきます。
老朽化の状況について
当市の施設の老朽化の状況は類似団体・全国平均よりも高く、安全・安心な水道水を安定して供給することが難しい状態と言えます。マンパワー不足に加え、他事業関連工事に伴う配水管布設替工事への対応を優先せざるを得ず、耐用年数を超過した管路の更新工事が後回しになっている状況です。水道管の耐用年数は概ね40年程度であり、現在の更新率では耐用年数以内での管路更新は不可能な状態です。令和2年度に策定した更新計画に沿い、優先順位を加味しながら、水道水の安定供給に向けた老朽化対策を実施していきます。
全体総括
令和3年度は、水道事業の持続可能な運営を行うため、今後40年先の将来像を見据えた直近10年間の計画として「十日町市新水道ビジョン」を策定しました。また、経営の効率化を図るため、令和3年4月1日に川西地域の室島地区及び白倉地区簡易水道の2施設を水道事業に統合しました。当市の簡易水道施設は山間部・過疎地域の給水を担うことから、人口減少が著しく、基幹収入である給水収益は減少傾向にあります。また、施設数が多く管路延長の長さに加えて、それ自体の老朽化によってその更新維持費用は増加傾向にあります。また、令和2年度より簡易水道事業を法適化したことから、より正確な経営状況の把握が可能となり、喫緊の課題である経営の健全化と施設の老朽化への対応に向けて、水道料金の見直しを実施するとともに、令和2年度に策定した更新計画に基づいた適正な工事の執行に努めます。