経営の健全性・効率性について
令和元年度は、5月の大涌谷の噴火警戒レベルの引上げ及び10月の台風19号による交通網の被災による観光客の減を受け、下水道使用料収入減となったため、経常収支比率及び経費回収率が前年度比減となりました。今後は、施設老朽化に伴う改築・更新費用や修繕等の維持管理費用の増大が見込まれるため、経営状況は厳しくなるものと考えられます。流動比率については100%未満であり、短期的な債務に対する支払能力は高くないため、大きな支出が重なる場合には、一般会計からの繰入時期を調整して対応する必要があります。企業債残高対事業規模比率については、全国平均と同等の水準となっており、今後も同様の水準で推移することが見込まれます。汚水処理原価については、地理的制約のため、処理場が2つあること、ポンプ場の数が多いことなどから、高い水準となっています。施設利用率については、当町が観光を基幹産業としているため、将来的な観光客の増加にも対応できるような処理能力を施設に確保していることから、50%前後で推移しています。同様に、水洗化率は、住民人口で算出されるため、当町に多く設置されているホテル、保養所、別荘などの数値が反映されておらず、全国平均及び類似団体平均よりも低い水準となっています。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、平成30年度に地方公営企業会計に移行したため、低い数値となっています。管渠老朽化率についても低い水準となっていますが、当町の下水道管路施設は100kmに達しているため、これまで整備してきた管路施設の老朽化対策を推進していく必要があります。管渠改善率は、類似団体平均及び全国平均を下回っており、ストックマネジメント計画のリスク評価の優先順位に基づき、改築・更新を行っていく必要があります。
全体総括
当町は観光立町であるため、観光客の動向により、使用料収入が大きく左右されます。また、今後は施設の老朽化対策と流域下水道への加入に係る建設費などのために多額の資金が必要になります。そのような中、持続可能な下水道事業経営を行っていくため、社会情勢を注視しつつ、公営企業会計における財務諸表等を活用し、現在の経営状況や資産の現状を把握し、適正な使用料の水準についても検討していきます。老朽化対策については、ストックマネジメント計画に基づき、下水道施設全体の修繕・改築を中長期的な計画で効率的に行うことで、施設の事故発生や機能停止を未然に防止し、修繕・改築コストの低減を図っていきます。