経営の健全性・効率性について
経常収支比率や経費回収率は100%を超え、純利益を継続的に計上していることから、経営の健全性は保たれていると考える。なお、平成29年度の経費回収率及び汚水処理原価は前年度と比べて乖離があるが、県水道料と下水道使用料の徴収を一元化したことに伴う徴収時期の変更により、平成29年度に限り13ヶ月分の下水道使用料を徴収しているためである。一方、本市においては、平成4年以降、積極的に下水道を整備し普及を図るため、企業債を活用し続けてきたこともあり、依然として、流動比率は低水準にあることや事業規模に対する企業債の残高は高水準にあることから、引き続き、費用の削減や財源の安定的確保に努めていく。また、施設利用率や水洗化率については、高水準を維持していることから、効率的に経営ができていると考える。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率や管渠老朽化率については、類似団体と比べて老朽化は進行していないものの、本比率は上昇傾向にある。今後、更新期を迎える施設が増加し、多額の費用を要する見込みであることから、下水道ストックマネジメント等の取組みにより施設の長寿命化や維持管理・更新費用の削減、平準化を図っていく。
全体総括
近年は、人口減少や核家族化の進行、単身世帯の増加に伴う1世帯あたりの人員減少に加え、節水型社会への移行等により使用水量の減少が想定される。また、費用については、これまで整備してきた膨大な資産の維持管理及び改築更新の費用の増加が見込まれ、企業債償還金についても、今後、償還ピークを迎え、同水準の償還が当分の間続いていく見込みとなっていることから、経営状況が厳しくなることが想定される。このようなことから、下水道ストックマネジメント等による施設の長寿命化や費用の削減・平準化のほか、建設投資の適正化、マネジメントサイクルの導入等による事業運営を進めることにより、更なる経営の健全化・効率化に努めていく。