収益等の状況について
本市の駐車場事業としては、これまで「中央立体駐車場」「栄町立体駐車場」の2か所を運営してきた。本市は指定管理者制度の利用料金制を導入しており、修繕を除く管理運営費については全て受益者負担、修繕については市負担としている。その結果、修繕に係る経費についてのみ市負担が生じていることから、他会計補助金比率が高い状況となっていた。しかし、平成28年度は、利用者減による平成27年度末の中央立体駐車場の閉鎖により、指定管理者側の収支が改善し、かつ修繕費の繰出が少なくなったため、他会計補助金比率を大幅に下げることが可能となり、令和3年度にかけて、ほぼ横ばいで推移している。EBITDAについては、昨年度比で総収益はやや増収となった。いまだ類似団体の平均値とも乖離しているものの、指定管理者の企業努力による総費用の低下に努めており、近年は横ばいに推移している。売上高GOP比率は、平成30年度は類似施設の平均を下回っていたが、令和元年度は、運営の合理化等を進めたことによる営業費用の減少により大幅に改善され、類似施設の平均を上回った。また、令和3年度も引き続き、類似施設の平均を上回る結果となった。
資産等の状況について
すでに、建設における駐車場用地取得および建設に関する償還は完了しており、企業債残高は存在しない。ただし、既に耐用年数を経過し、施設の老朽化が進行しているため、収益状況を考慮しつつ資産経営を行う必要がある。
利用の状況について
稼働率については、類似施設の平均には及ばない状況であり、かつ、令和2年度は新型コロナウイルスによる影響などにより稼働率が低下したが、令和3年度は平成30年度とほぼ同水準にまで回復した。
全体総括
赤字を計上していた中央立体駐車場を閉鎖し、黒字である栄町立体駐車場のみ事業継続したこと、および運営合理化を進めた営業費用削減の結果、本市の駐車場事業は大幅に改善された。ただし、栄町立体駐車場は耐用年数を経過しており、今後、施設の老朽化に伴い、多額の改修費が必要になると、施設運営の効率性が低下する可能性がある。収益を伸ばすには稼働率の上昇が不可欠であるが、近辺の駐車場の競合や、近隣の大型商業施設の閉鎖や競輪場施設の一時閉鎖に加え、新型コロナウイルスによる影響など、駐車場需要の更なる低下が懸念される。また、施設の老朽化による修繕コストの上昇も懸念されることから、引き続き近隣の開発状況等に留意しつつ、今後5年間は指定管理者制度による運営を継続していく。