収益等の状況について
本市の駐車場事業としては、これまで「中央立体駐車場」「栄町立体駐車場」の2か所を運営してきた。本市は指定管理者制度の利用料金制を導入しており、修繕を除く管理運営費については全て受益者負担、修繕については市負担としている。その結果、修繕に係る経費についてのみ市負担が生じていることから、他会計補助金比率が高い状況となっていた。しかし、平成28年度は、利用者減による27年度末の中央立体駐車場の閉鎖により、指定管理者側の収支が改善し、かつ修繕費の繰出が少なくなったため、他会計補助金比率を下げることができた。30年度は前年度より若干減少し、引き続き類似団体の平均値より低くなっている。EBITDAについては、総収益はやや減少傾向があり、いまだ類似団体の平均値とも乖離しているものの、指定管理者の企業努力による総費用の低下によって、28年度から改善傾向が継続している。売上高GOP比率は、28年度までは類似施設の平均を下回っていたが、29年度は、運営の合理化等を進めたことによる営業費用の減少により大幅に改善され、初めて類似施設の平均を上回り、30年度は類似施設の平均をやや下回ったものの、29年度と同等の数値となっている。
資産等の状況について
すでに、建設における駐車場用地取得および建設に関する償還は完了しており、企業債残高は存在しない。ただし、既に耐用年数を経過し、施設の老朽化が進行しているため、収益状況をにらみつつ、費用対効果の高い更新投資や、廃止や民間譲渡も含めた検討を行う必要がある。
利用の状況について
稼働率については、総じてやや緩やかな上昇傾向で推移しているものの、類似施設の平均には及ばない状況となっている。なお、栄町立体駐車場付近にはコインパーキングが多数存在していることに加え、近くにあった大型商業施設が閉店するなど、今後の駐車場需要の低下が懸念される。
全体総括
赤字を計上していた中央立体駐車場を閉鎖し、黒字である栄町立体駐車場のみ事業継続したこと、および運営合理化を進めた営業費用削減の結果、本市の駐車場事業は大幅に改善された。ただし、栄町立体駐車場は耐用年数を経過しており、今後、施設の老朽化に伴い、多額の改修費が必要になると、施設運営の効率性が低下する可能性がある。収益を伸ばすには稼働率の上昇が不可欠であるが、近辺の駐車場の競合や、近隣の大型商業施設の閉鎖や競輪場施設の一時閉鎖などにより、駐車場需要の低下が懸念される。また、施設の老朽化による修繕コストの上昇も懸念されることから、引き続き近隣の開発状況等に留意しつつ、廃止や民間譲渡も含め、今後の施設のあり方について検討を行う必要がある。