経営の健全性・効率性について
料金回収率が100%を下回り、経常的に必要な経費を給水収益で賄うことができていない。これは、市民負担の公平性の観点から、市域(※1)の大部分に給水を行っている千葉県営水道と同一料金としているためであり、収支差額は一般会計繰入金により補てんしている。また、経常収支比率が前年度と比較し減少しているが、これは、平成30年度決算において水利権の除却費や施設利用権の減損といった特別損失を補てんするための一般会計繰入金を営業外収益として受け入れた反動であり、比率は平成29年度以前とほぼ同水準に戻っている。給水原価が平均を著しく上回っているのは、有収水量密度が全国平均(※2)を下回る地理的条件等により、投下資本が給水収益に結びつかないため相対的に高くなっている支払利息や減価償却費のほか、千葉県企業局への受水費が大きな割合を占めていることによる。流動比率は年々低下し100%を下回っているが、これは過去に企業債に依存した投資を行ってきたため元金償還金が増加しているなか、経常費用を給水収益で賄えていない経営状況にあるために、流動資産が減少していることが主な要因である。施設利用率は平均を下回っているが、管路の老朽化が進んでいないことに加え、漏水箇所の早期発見に努めたため、有収率は平均を上回っている。※1R2年1月1日の本市人口972,516人に対する普及率は4.73%となっているが、千葉市水道事業の給水区域内人口は55,811人であることから、実際の普及率は82.5%となる。※2H30年度全国平均1.25千㎥/ha千葉市0.79千㎥/ha
老朽化の状況について
H27年度より法定耐用年数を超えた管路が発生したが、管路経年化率は類似団体等と比較し依然として低い水準である。しかし、有形固定資産減価償却率は年々増加傾向にあるため、計画的な更新や、修繕等の維持管理に留意する必要がある。
全体総括
経営指標分析の結果、管路の老朽化に関しては差し迫った状況にないものの、経営の健全性・効率性が確保されているとは言えない。本市においても将来的には人口の減少等による給水収益の減少が想定され、今まで以上に厳しい経営環境の下で事業運営を行わなければならないことから、H28年度に策定した水道事業中期経営計画に掲げた施策の推進に取り組み、さらなる経営の健全性・効率性の向上に努めている。また、今後は老朽化した施設の更新や自然災害に対する取り組みの強化などに多くの資金が必要となることから、中長期経営計画に基づき、更新費用の低減や平準化を図っていく。