地域において担っている役割
平成31年4月以降、急性期病床45床、回復期病床30床(地域包括ケア病床)で運営している。秩父郡市全域で人口減少と高齢化が著しいが、西秩父地域では唯一の病院であり、地域医療を提供する役割は大きい。通常の診療に加えて予防からリハビリまで切れ目のない医療を提供するため、訪問診療、通所リハビリ・訪問リハビリサービスを積極的に行っている。また、緩和ケアの対応も行っており、地域に親しまれる病院であり続けるため、より切れ目のない医療を提供するため、訪問看護事業を検討している。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率→外来収益は、新型コロナウイルス感染拡大による発熱外来対応により増収、入院収益は、コロナ治療後の患者を受入れ増収となった。ワクチン接種対応もあり医業収益全体で前年度比約45,000千円増収、一般会計からの繰入金が前年度比で約82,000千円減となったことから、総収益は前年度比約43,000千円減となった。費用全体では、給与費をはじめ材料費、経費共に減少し、前年度比約57,000千円減となったことから、経常収支比率は前年度比1.4%増となっている。②医業収支比率→医業収益が前年度比約45,000千円増収、医業費用は前年度比約50,000千円減となったことから、医業収支比率は、6.9%増となった。③累積欠損金比率→14年度病院に増改築工事を実施し、多額の減価償却費を計上しており、人口減少、新型コロナウイルス感染拡大による患者数減により収益も伸び悩み厳しい状況が続いている。経常収支は前年度比で約15,000千円改善し、16.2%改善している。④病床利用率→病院全体で許可病床は95床であるが、看護スタッフが不足する中での転換であるため、一般病床、回復期病床ともに30床での運用を行っており利用率も47.2%となっている。⑤入院患者一人一日あたり収益→コロナ治療後の入院患者受け入れにより加算がついたことにより前年度比で微増となっている。⑥外来患者一人一日あたり収益→主に発熱外来の対応により加算が付いたことにより単価が微増。⑦職員給与医業収支比率→給与費は職員減により前年度比で約43,000千円減、医業収益が前年度比で約45,000千円増になったことから前年度比で給与費の医業収益比率が6.8%減となった。⑧材料費→医業収益が前年度比で約45,000千円増になっているが、入院患者は減少した。結果的に材料費が減になり前年度比で1.2%減となっている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率、②機械備品原価償却率類似団体と比較し固定資産減価償却率が高いことから老朽化が進んでいると思われる。病院本館は昭和51年建設し40年経過しており、建物の安心・安全を確保するため、平成29年度に耐震工事を実施し、雨漏り対応工事を令和2年度に実施した。機械備品についても類型団体と比較して機械備品減価償却率が高くなっており、医療機器に関しては、経営も厳しく1年でも長く有効利用するために、保守点検及び精度管理を定期的に実施し、耐用年数より長く利用している機器が多い。保守点検者の情報により精度が確保されない場合は、機器の更新を行なっている。
全体総括
西秩父唯一の病院であるが、人口減少、高齢化が進展している状況であり、医療・経営面のどちらも厳しさが増している。また施設の老朽化も進んでおり、これらの修繕には多額の費用がかかり、小鹿野町単独での運営も厳しい現状である。当院は、経営改善に向けて平成31年4月に療養病棟を一般病床の回復期病床(地域包括ケア病床)に転換した。収益は改善傾向であるが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による患者数減少もあり、大幅な改善には至っていない。今後も感染の拡大状況によっては経営面への影響は続くと思われる。近い将来、訪問看護事業の取入れを検討しており、新たな収益拡大の切り札としたい。