経営の健全性・効率性について
①経常収支比率給水収益等で、維持管理費や支払利息等の費用をどの程度賄えているかを表す指標で、当市の場合過去5年間にわたり単年度の収支が100%以上と黒字を示すものであるが、人員の削減による経常費用減の要因が大きいと考えられる。今後は浄水場などの維持管理の経費を抑えていく面からも、施設の老朽化対策を効率的に実施していくことが求められる。②累積欠損金比率営業収益に対する累積欠損金の状況を表す指標で0%であることが求められる。当市は過去5年間0%と累積欠損金は発生していない。これは経常収支比率から見る黒字の影響であるが、今後の収益の増加と支出の削減の推移に注意が必要である。③流動比率1年以内に支払うべき債務に対して支払うことができる現金等がある状況を示す指標で100%以上であることが必要である。当市は過去5年間100%以上であり、今後新規の企業債借入予定も見込まれないため安定した支払能力を保有している。④企業債残高対給水収益比率企業債残高の規模を表す指標である。当市においては、内部留保資金を活用することにより建設改良費の不足分を補填できているため、当面新規の企業債借入予定は見込まれていない。よって企業債残高も減少傾向である。しかし、今後給水収益の減少や施設整備への投資による支出の増加などの推移を検証していく必要がある。⑤料金回収率H26当該値(誤)100.80→(正)95.97に訂正給水に係る費用が給水収益でまかなえているかを表す指標で100%を下回っている場合は、逆ざや(給水に係る費用が給水収益以外の収入でまかなわれている状態)が発生しているといえる。当市においては、逆ざや解消には至っていないものの微増傾向にあるため推移をみつつ検証を続けていくものである。⑥給水原価H26当該値(誤)131.50→(正)138.12に訂正有収水量1㎥を販売するにあたり、どれだけの費用がかかっているかを表す指標で数値が低いほど望ましい。当市の数値は、経常費用節減の効果もあり、類似団体の平均を下回っている。⑦施設利用率一日の配水能力に対する一日平均配水量の割合で表す。施設の利用状況や適正規模を判断する指標であり、一般的には高い数値が望ましいとされている。当市の数値は過去5年間70%前後と安定しており、概ね現在の配水能力に見合った利用率であるといえる。⑧有収率施設の稼働が収益につながっているかを判断する指標で100%に近いほど施設の稼働状況が収益に反映されているといえる。平均値を上回っており、当該値も微増傾向にある。引き続き漏水やメーター不感による収益につながらない配水状況改善に努める。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率償却対象資産について減価償却がどの程度進んでいるかを表す指標で100%に近いほど将来の施設の更新等の必要性が高いと推測できる。当市は類似団体と比較してほぼ平均的な数値で推移しているが、管路経年化率、管路更新率を踏まえた計画的な老朽化対策が必要である。②管路経年化率法定耐用年数を超えた管路延長の割合を表す指標で管路の老朽化の程度を示しており、数値が高いほど管路の更新等の必要があると推測することができる。当市は類似団体と比較しても低い数値であり、現時点では法定耐用年数を超えた管路の割合が低いことを示している。③管路更新率(誤)0.58→(正)0.47に訂正当該年度に更新した管路延長の割合を表す指標で、管路の更新率が低い場合は、一般的に管路の更新投資を増やす必要性が高いと推測できる。当市は類似団体と比較し低い数値であることが示すように、現時点での投資の必要性は低いものの将来的な投資は必然であるため、計画的な更新の見直しが必要である。
全体総括
現状では、事業・サービスの提供を安定的に継続するために必要な施設・設備に対する投資が適切に見込まれ、安定的に維持できると考えられるが、将来的に管路の更新などの課題は明らかである。富士見市水道ビジョンに基づき、事業運営の効率化を進め、老朽管更新などの施設整備の見直しを随時検討していくものである。