経営の健全性・効率性について
左図①収益的収支比率は、平成27年から改善傾向にあるものの、100%未満であり、赤字経営となっています。また、左図⑤経費回収率は使用料改定による収入増加と借入返済金の減少により改善していますが、類似団体と比較し、低水準です。考えられる主な要因は、使用料収入が不足していることです。現状、利用者からの使用料収入だけでは事業運営が困難であり、不足分は税金により補填しています。左図④企業債残高対事業規模比率は、改善傾向にあります。要因については、企業債(借入)返済を進めながら、新規借入を抑えていることによると考えられます。左図⑥汚水処理原価について、借入金の返済が進み、平成29年には低下しましたが、使用料改定に対し、大口利用者の水量が減少したことから、平成30年には増大しています。左図⑦施設利用率は類似団体と比べ低い水準となっています。要因は、下水処理場の処理水量が当初計画を大幅に下回っており、施設規模が過大となっているためです。左図⑧水洗化率は年々増加傾向にあります。浄化槽等から下水道への切り替え時に利用可能である無利子融資制度の案内等が要因と思われます。
老朽化の状況について
老朽管の更新に未着手であるため、左記③管渠改善率は、過去5年間連続で0%です。なお、下水道管の耐用年数が50年となっている中、公共下水道事業の開始から50年以上経過し、一部耐用年数を過ぎた管が発生してきています。しかし、類似団体の状況を見ても、下水道の新規整備を優先的に行っているため、老朽管の更新は進んでいない状況です。現状の改善に向けて、本市では平成30年度に長期計画の策定を開始しました。具体的には、下水道施設や工事内容情報をデータベース化し、既存の下水道施設の改築更新の需要量を把握し、効率的な施設の維持管理・改築更新を実施します。長期計画に沿って、老朽化の進んだ施設等を優先的に改築・更新するとともに、維持管理費等の経費を削減し、更なる経営改善に努めます。
全体総括
上記のとおり厳しい経営状況が続いているため、本市では次のような取組を行っています。【収入の確保】平成29年度から下水道使用料を3年間で段階的に引き上げています。参考:下水道使用料(1か月20㎥使用した場合の月額。)平成28年1,630円平成29年10月改定1,900円平成30年10月改定2,268円令和2年4月改定2,750円【支出の見直し】下水道施設の老朽化により、更新費用の増加が見込まれるため、当該固定資産にどの程度価値があるのか評価し、実態把握に努めているところです。また、その成果は、現行の官公庁会計から企業会計へと移行するために活用し、長期計画と併せて本市の経営基盤の強化や財政マネジメントの向上へとつなげていきます。