前橋市:電気事業

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経営比較分析表(2020年度)

経営の状況について

本市の電気事業は、FIT制度(発電した電気を固定価格で20年間買い取りする制度)を活用し、事業期間における収支状況を試算・検討した上で事業を実施していることから、将来にわたり安定した経営が可能であると考えている。【変動要因】各指標に共通する前年度比の変動は、主に以下の2点が要因であると考えられる。①自然的要因による発電量の低下太陽光発電は、前年度と比べ発電量が約1.8%低下した。発電は通年で行えているめ、自然的要因による変動と機器劣化の影響であると考えられる。小水力発電は、前年度と比べ発電量が約10.2%低下した。発電は通年で行えているため、令和2年度の降水量が前年度よりも減少したことにより、使用できる水量が少なかったことが要因であると考えられる。②消費税の確定申告による支出の増加特別会計として消費税の確定申告をするにあたり、令和元年度までは小水力発電所建設工事の影響で、売上げが仕入れを下回り、消費税が「還付」されていたが、令和2年度からは売上げが仕入れを上回り、「納付」となった。そのため、約11,200千円の支出が増加した。今後は「納付」が通常となるため、令和2年度と同程度で推移していくことが予想される。【収益的収支比率】収支の黒字を示す100%を下回っているように見えるが、算定式の分母となる「総費用」には「一般会計繰出金(会計全体の利益を繰出ししているもの)」を含んでいる。「同繰出金」を除いた純粋な総費用で収益的収支比率を計算すると約140%となり、実質的には黒字になっている。【営業収支比率】大きな機器の故障や自然災害などもなく、発電も比較的安定していることから、一定の売電収入があり、営業収支比率も100%を上回っている。また、直近5年間についてもいずれも100%以上となっており、日射量や降水量により若干の変動はあるものの、安定して営業利益を計上している。【供給原価】前年度と比較して供給原価が改善しているように見えるが、算定式の分子となる総費用には「一般会計繰出金(会計全体の利益を繰出ししているもの)」を含んでいる。「同繰出金」を除いた純粋な総費用で供給原価を計算すると、令和元年度の約22.9円/kWhに対し、令和2年度は約27.3円/kWhとなり、前年度と比べて低下している。この指標の低下は、上記の【変動要因】によるものであると考えられる。【EBITDA】前年度と比較してEBITDAが改善しているように見えるが、総費用には会計全体の収益を示す「一般会計繰出金(会計全体の利益を繰出ししているもの)」を含んでいる。「同繰出金」を除いた純粋な総費用でEBITDAを計算すると、令和元年度の90,317千円に対し、令和2年度は64,915千円となり、前年度と比べて低下している。この指標の低下は、上記の【変動要因】によるものであると考えられる。

経営のリスクについて

【設備利用率】太陽光発電は、全国平均と比べて日照時間が長いという地域特性に加え、包括的施設リース契約による適切な施設管理により、年間を通じて安定した運転ができている。設備利用率については、直近の5年間は15%前後で推移しており、平均値及び資源エネルギー庁が発表している太陽光発電(メガ)の設備利用率14%を上回っている。前年度と比較してわずかに指標が低下しているが、自然的要因による変動であると考えられる。小水力発電の設備利用率は、降水量が少なかったことにより、前年度よりも低下している。また、平均値及び資源エネルギー庁が発表している小水力発電の設備利用率60%を下回っているが、当該発電所は農業用水を使用しており、冬季(非かんがい期)の流水量が減少することが原因であると考えられる。冬季の水量減少は、計画当初から想定していたものであり、かんがい期には最大出力で運転できているため、順調に稼働しているといえる。【修繕費比率】太陽光(機器等の修繕を含めた包括的リース契約を採用している)及び小水力発電ともに、修繕費を要すような大きな機器の故障や自然災害などがなかったことから、修繕費比率は0となっている。【企業債残高対料金収入比率】本企業債は、小水力発電所の建設に係るもので、売電収入を償還財源としている。企業債残高対料金収入比率が平均値と比べて高い数値ではあるが、小水力の発電は順調に稼働しており、売電計画に基づき今後も企業債償還を進めていく予定であることから、長期間で見れば比率は減少していくものと思われる。なお、太陽光発電所の建設に要する初期投資については、企業債を活用せず、売電収入からリース料の一部として支払う契約としているため、企業債残高対料金収入比率が算出されていない。【FIT収入割合】「1.経営の状況について」にも記載したとおり本市の電気事業については、FIT制度を活用したものとなっており、全体及び発電型式別に見ても100%となっている。FIT制度の適用期間と太陽光発電の包括的施設リース契約の期間がともに20年間と同じであるため、事業経営上のリスクは低いものと考えられる。FIT制度の適用期間である20年間をひとつの目途としているため、20年経過後の事業運営については不明瞭な部分はあるが、今後の経営状況などから将来の費用対効果について検証しつつ、FIT制度の期間満了までには方針を示したいと考えている。

全体総括

発電事業全体としては、概ね健全な事業運営ができていると考えており、一部数値が悪化しているものについては、自然的要因による発電量の低下と、消費税の還付が終了したことによるものとなっている。今後は、令和2年度に策定した経営戦略に基づき、経営基盤の強化、経営の健全性の維持に努めることにより、事業を安定的に継続していきたい。

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