地域において担っている役割
地域の中核病院として、二次救急医療の地域内での完結を目指し救急患者を積極的に受け入れるほか、周辺の医療機関と機能分担と連携を強化し、急性期を中心に入院患者の受け入れを行い、地域の基幹病院としての役割を果たしている。また、災害拠点病院として役割も担っているほか、病病連携、病診連携によって、かかりつけ医との連携による2人主治医制を推進している。
経営の健全性・効率性について
今年度、DPC稼働に伴う1人当たりの単価増や、新型コロナウイルス感染症関係の補助金等により経常収支比率は上昇に転じ赤字幅は減少したが、新型コロナウイルス感染症に伴う一部病院機能制限による患者数の減少により、医業収支比率は減少となっている。累積欠損金比率に関しては、3度目の決算という事で類似団体平均より下回っている。病床利用率に関しては、新型コロナ感染症に伴う一部病院機能制限やコロナ病床確保により利用率が減少した。また、患者1人当たりの収益は、入院においてはDPC稼働による収益増、外来においてはDPC稼働による入院前、外来の検査増やコロナの検査増が収益増に繋がった。職員給与費対医業収支比率については医業収益の増加により減少、材料費対医業収益比率については、院内薬剤の見直しによる後発医薬品への切り替えや材料費の価格交渉により費用削減に転じている。
老朽化の状況について
平成30年度10月に茨城県西部メディカルセンターとして開院し3度目の決算という事でまだ日が浅いこともあり、有形固定資産減価償却率、器械備品減価償却率はともに低く、再編統合前の旧病院からの移設機器の更新や新たな施設整備や医療機器を購入をしたことにより少しずつ上昇に転じている。また、一床当たり有形固定資産は類似病院平均値を下回っている。
全体総括
年度当初から新型コロナウイルス感染症の影響により、通常入院患者受入の減少や感染防止のためのコスト増加等、収入・費用の両面に大きな影響を及ぼしている。特に、新型コロナ感染症により入院患者は減少しているものの、4月からDPCが稼働し、新型コロナ感染症による臨時的措置もあり1人当たりの収益が増加している。また、新型コロナ対策による病棟の空床補助金等により収支においては改善されている。一方新型コロナ感染症に伴う一部病院機能制限による患者数の減少に伴い、医業収支比率は減少となっていることから、病棟稼働率の向上を目指すために、人材の確保の取組や市からの運営費負担金に頼らない健全経営のための収入増の取組が引き続き必要であり、今後も新型コロナウイルス感染症受入の重点機関として業務改善に向けた取組を継続しながら、改善に向けた分析を行い、収益の確保・費用の削減を図って、早期に安定した経営基盤を構築し、地域医療を支える中核病院としての役割を果たしていく。