経営の健全性・効率性について
本事業は、平成4年度に事業開始し平成21年度には全6地区が供用開始となり農集排整備事業は完了していることから、今後の事業は接続率の向上を図りつつ、処理施設の維持管理等を行っていくこととなる。水洗化率では事業実施が後半の笹川・野尻地区を除けば90%を超えており、全体の率としては88.15%となっている。今後の見込みでは、原則過去の整備事業で借りた地方債の償還を行いながら、施設の維持管理を継続することとなるため、各指標で大きな変動は無いと考えられるが、依然として使用料の増収は見込めず、維持管理費に加え地方債の償還があることから、継続的な一般会計繰入金は必須となる。令和元年度決算では、令和2年度より地方公営企業法適用へと移行することから、年度末時点で出納閉鎖期間を設けずに打ち切り決算を行っているため、例年よりも下水道使用料の収入額が1月分(約263万円:使用料全体の約8%)少なくなっている。以上のことから、総収益が大幅な減となったため、総収益が反映される値である「収益的収支比率、企業債残高対事業規模比率、経費回収率」において、悪化する結果となったが、仮に打切り決算をしない場合を想定すれば、例年並みの値となる見込みである。
老朽化の状況について
事業実施が最も古い小島地区で供用開始後20年が経過したことから、機器の更新が生じてくることが想定される。しかし、現時点では多少の修繕はあるものの大規模な機械設備トラブルもなく毎年のメンテナンスにより喫緊の問題は発生していない。今後は平成30年度に策定した最適整備構想計画を基に国の補助事業により、計画的かつ効率的な老朽化対策を進めるとともに、公共下水道処理区に隣接する森野地区については、公共下水道と統合し、最適な規模の施設運営を図っていく。
全体総括
現在の加入率の状況から、今後は大きな使用料の増加は見込めない状況であるため、引き続き維持管理業務等のコスト削減を図っていく。しかしながら、管理業務や汚泥処理、電気料などの経常経費についての大幅な削減は困難であり、今後ピークを迎える企業債償還元金について一般会計からの繰入れが必須であり、当面は引き続き継続していく。施設の維持管理では令和3年度に現在、本農業集落排水処理事業で運営している森野処理区を下水道事業の野沢処理区に統廃合するため、対象処理区の使用料は減となるが、維持管理コストが使用料以上に大きく減となる見込みであり、各種指標は一時的に大きく改善する予想である。会計面では、健全な経営状態を目指し財務管理の明確化を図るため、令和2年度から地方公営企業法を適用する。