経営の健全性・効率性について
【①収益的収支比率について】総収益の内訳としては約4000万円の料金収入と約1億円の一般会計からの繰入金が柱となっており、一般会計繰入金に大きく依存している収益構造となっている。なお、比率が例年75~79%で推移しているが、これは起債の償還金の返済が大きいためであり、100%に満たない分を資本費平準化債で賄っている状況である。【④企業債残高対事業規模比率について】当町の公共下水道は管渠延長が31km、整備面積が213平方㎞と小規模であるため、当該比率についても類似団体と比較して、低いものとなっていると考えられる。【⑤経費回収率について】平成22年度をピークに以降は52~56%の水準に留まっており、後述する汚水処理原価の高さに繋がっている。これは後述する水洗化率の上昇の鈍さと年度毎に発生する修繕工事や新規公共マス設置工事のボリュームに影響を受けているものと考えられる。【⑥汚水処理原価について】各年度250円/立米を超えており、高い水準となっている。これは後述する水洗化率の上昇の鈍さの影響のほか、本表には情報の記載がないが従量で支出している流域下水道維持管理費負担金の高さ(超過料金収入153円/立米に対し110円/立米の負担金)と、負担金が賦課される水量のうちの不明水が占める量が汚水処理原価が高止まりしている原因となっているものと考えられる。【⑧水洗化率について】毎年1~3%の上昇がみられるが、供用開始から17年経過の下水道事業にしては極めて低い水準であり、上昇率も非常に緩やかなものとなってしまっている。原因としては、本表に情報の記載がないが区域内に高齢者のみの世帯が多く、費用がかかる下水道加入を躊躇しているケースが多いことが考えられる。
老朽化の状況について
【管渠の老朽化について】管渠は一番古い路線のもので平成6年の布設から21年経過している。管渠の大部分は真空圧送方式であり管渠の不具合が発生すると広い範囲で汚水の排除ができない事態となることから、長寿命化を検討する必要がある。
全体総括
高止まりしている汚水処理原価が収益的収支比率および経費回収率の低下に繋がっている。これを改善するためには、水洗化率の上昇と経常経費の圧縮が求められ、大きく2つの施策が必要と考える。①収入の改善低水準にある水洗化率を向上させ、収入の改善に繋げるため、利用できる制度や補助金の情報を積極的に発信することが必要。②経常経費の圧縮超過料金収入に対し約72%を占める流域下水道維持管理負担金支出の圧縮のため、不明水の探索と滲入防止の措置を講じる必要がある。また、修繕や工事などを可能な範囲で一括発注し、更なる経費の圧縮を行う必要がある。