経営の健全性・効率性について
【④企業債残高対給水収益比率】企業債残高対給水収益比率については,令和2年度数値として318.10%と全国平均より42.43%,類似団体平均値より78.92%高く,前年度比較では5.09ポイント増となっている。今後も同水準で推移していくものと想定しているが,現在の起債充当率85%から令和6年度以降は50%と低く抑えることとしており,改善が見込まれる。【⑤料金回収率】及び【⑥給水原価】料金回収率は,令和2年度数値として101.37%と全国平均より1.32%高く,類似団体平均値より0.52%低い数値であり,給水原価については,254.31円と全国平均より87.91円,類似団体平均値より97.99円高い数値となっている。給水原価の前年度比較では11.89円(4.47%)減となった。要因としては県水受水費の削減や委託料の減などによる費用の減と,有収水量の増などがあげられるが,今後もさらなる経営の効率化と経費の削減に努めていく。【⑦施設利用率】施設利用率については,令和2年度数値として58.95%と全国平均より1.74%,類似団体平均値より4.28%低いが,前年度比較では配水量の増加により0.93ポイント微増となっている。今後も同水準で推移することが見込まれるが,水需要に見合った施設規模への改良を含め計画的な施設更新を行う必要がある。【⑧有収率】有収率については,令和2年度数値として83.80%と全国平均より6.02%,類似団体平均値より5.55%低くなっており,前年度比較でも0.83ポイント微減となっている。令和2年度においては地震に伴う濁度解消のための排射により,一時的に配水量が増えたものと考えている。山間部等においては地形的要因のため漏水対策に苦慮しているところであるが,今後も継続的な漏水調査を実施し,有収率の向上に努めていく。
老朽化の状況について
②管路経年化率については,20.77%と全国平均値より0.14%,類似団体平均値より1.26%高く,③管路更新率については,令和2年度数値として0.20%と全国平均値より0.49%,類似団体平均値より0.47%低い数値となっている。前年度に比較して更新需要が到来している管路延長が増加したことを示す数値となっているが,管路の更新工事,耐震化工事については,アセットマネジメント等による更新計画に基づき,優先順位を把握し配水管更新を計画的に行うこととしており,加えて,経営戦略の投資計画を見直し,老朽管更新の加速化を図ることとして計画していることから,今後は有形固定資産減価償却率,管路更新率についても改善が見込まれる。
全体総括
大崎市水道事業においては,平成26年12月にアセットマネジメントを策定し,管路や施設の耐震化,長寿命化を図るとともに,平成29年2月に10年間の財政収支を見据えた経営戦略を策定し,事業を進めてきており,令和3年度には,今後の人口減少に対応した水道施設に係る更新計画や財政計画の見直しを行い,令和4年度以降10年間の経営戦略を新たに策定したところである。料金改定時期については,資金の流動性に余裕が生じている状況であることから,今後の経営戦略の計画期間内においては現行料金を当面据え置くこととした。しかしながら,現在の料金水準では必要な資金を確保することが将来においては困難な状況になることが必定であることから,今後も,管路や施設の更新状況を鑑みながら,給水原価に対する適正料金のあり方も含め,検討していく。将来に向けた安定的な水道水の供給を図るため,水道施設並びに配水管の更新や耐震化を継続して実施し,施設の強靭化と未給水地域の解消に引き続き努めるものである。