経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%を越えているものの近年減少傾向にあったが、今期は全国平均や類似団体平均を上回り、経営状態は概ね健全であることを示している。この要因としては、老朽化した浄水場施設の修繕費が増加傾向にある一方で、受水費単価の引下げ改定及び受水量の見直しによるものが挙げられる。しかしながら、給水原価については類似団体と比較して高い状況となっているため、さらなる経費削減や経営の効率化などに努めていく必要がある。企業債残高対給水収益比率は、全国平均や類似団体平均と比較して財政的には健全ではあるものの、今後の施設更新のための企業債発行が増加していく状況に備え、施設更新計画及び収益見込みに基づいた計画的な事業運営に努めていく必要がある。料金回収率は100%を上回ったものの、主な要因としては受水費単価の引下げ改定によるものである。今後老朽施設の更新などに多額の経費を見込んでいるため、経費削減等の取り組みが必要であるとともに、経営戦略に基づき、料金改定について検討する必要がある。施設利用率は、類似団体平均値と比較して低い状況となっているものの、年々増加傾向にある。市内の水需要を仙南・仙塩広域水道及び自己水源(両者の割合は概ね6対4)で賄っており、仙南・仙塩広域水道からの受水量は宮城県及び受水市町との覚書で定めているものであるため、自己水源を優先させて施設利用率を向上させることが難しい状況であるが、受水量の見直しを今後も検討していくこととしている。有収率は90%を下回る状態が続いており、主な要因としては配水池の工事における洗浄水等の無収水量の増加によるものである。しかしながら、類似団体平均値と比較して高い状態を維持している。今後も継続した漏水調査等により有収率の維持・向上を図っていく。
老朽化の状況について
管路の更新投資を強化したところ全国平均と比較しても高い管路更新率となり、有形固定資産減価償却率及び管路経年化率が全国平均値より下回った。今後も財政収支の見通しに基づき、適切な管路更新を実施するよう努めていく。
全体総括
経営の健全性は維持されているものの、今後も老朽施設の更新等に多額の経費が必要となる一方で、人口減少等により給水収益の減少が見込まれる。将来にわたって安心安全な水道水を安定して供給するため、経営戦略や財政収支の見通しに基づくアセットマネジメントに基づき、中長期的に安定した事業運営に努めていく必要がある。